3. 空から降ってきた「鎖」

日焼けマシン、消えた親友の頭部… 現実に起きた『ファイナル・デスティネーション』級の悲劇【後編】の画像3
(画像=Image byschroederhundfromPixabay)

 2023年5月、高速道路を走る一台のツアーバン。中には、ラスベガスでのライブに向かうポップパンクバンド「CLIFFDIVER」のメンバーが乗っていた。その時、車内に轟音が響き渡り、フロントガラスが粉々に砕け散った。

 運転していたベーシストのタイラー・ロジャースさんは衝撃で意識を失った。ドラマーがとっさにハンドルを掴んで大事故を防いだが、ギタリストはタイラーさんの首から大量の血が噴き出しているのに気づいた。

 駆けつけた救急隊員が発見したのは、彼の首に深く突き刺さった巨大な鋼鉄のチェーンだった。対向車線を走っていたトラックの荷物を固定するストラップが切れ、そのチェーンが弾丸のように飛んできたのだ。頸動脈を損傷するほどの重傷だったが、彼は奇跡的に一命をとりとめた。まさに死の運命を紙一重でかわした瞬間だった。

2. 日焼けマシン、砕け散ったガラスの刃

日焼けマシン、消えた親友の頭部… 現実に起きた『ファイナル・デスティネーション』級の悲劇【後編】の画像4
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))

 2014年6月、イギリス。17歳のグラント・アダムス君は希望に満ちていた。レンガ職人の見習いとして働き、初めての車を買い、もうすぐ生まれてくる我が子と、目前に迫った18歳の誕生日を心待ちにしていた。

 しかし、彼がその日を迎えることはなかった。ある朝、ベッドから起きた彼は、床に落ちていた靴につまずきバランスを崩した。そして、部屋に立てかけてあった日焼けマシンに倒れ込んでしまったのだ。衝撃でUV管が粉々に砕け散り、そのガラスの破片が彼の頸静脈を切り裂いた。

 母親が発見した時、彼は階段の下で血の海に倒れていた。5時間にも及ぶ大手術もむなしく、彼は翌日の夜に亡くなった。ほんの些細なつまずきが彼の輝かしい未来を永遠に奪い去ってしまった。