日常に潜む危険は、時に映画以上に残酷な牙をむく。前編では、食器洗い機やMRI、回転レストランといった、ありふれた日常が死の罠と化した5つの事例を紹介した。
後編では、さらに衝撃的な5つの事故を見ていこう。これらは、ほんの少しの不注意や、信じられないほどの不運が重なった時に起こる現代の悲劇の記録である。
** ※前編はこちら ** ** 現実に起きた『ファイナル・デスティネーション』級の悲劇【前編】 **
6. 看板の下には、停めてはいけない

2009年4月、ネブラスカ州。49歳のダイアナ・デュレさんは、夫と共にタコベル(アメリカ大手のファストフードチェーン)の駐車場に車を停めていた。ある夫婦と犬の売買の約束をしており、待ち合わせ場所は「大きなタコベルの看板の下」だったのだ。彼女は、その言葉通りに車を停めた。
しかしその日は、秒速17m以上もの突風が吹き荒れる、とてつもない強風の日だった。頭上で不気味にきしんでいた巨大な看板は、ついにその重みに耐えきれず、支柱が真っ二つに折れた。巨大な鉄の塊は、ダイアナさんの車を直撃。彼女は即死だった。
約束の相手が到着した時、彼らが見たのは、救急隊員がダイアナさんの死亡を確認する、あまりにも悲惨な光景だった。約束の場所が彼女の最期の場所となってしまったのだ。
7. 芝刈り機が牙をむく時

2025年3月、サンアントニオ。55歳のホルヘ・コンザレスさんは、大学のキャンパスで業務用の大型芝刈り機を運転していた。彼は経験豊富な造園業者だったが、その日はなぜか目の前の崖に気づかず、芝刈り機ごと転落してしまった。
落下する勢いでマシンから投げ出された彼は、下の排水溝に着地した。しかし、運命はあまりにも残酷だった。宙を舞った芝刈り機が、彼の真上に落ちてきたのだ。救急隊が駆けつけたが、彼を蘇生させることはできなかった。
アメリカでは芝刈り機による事故は珍しくなく、毎年約1万人の子供が負傷し、手足を切断するケースも後を絶たない。便利な機械は、一歩間違えれば凶暴な鉄の塊と化す。