最優秀賞に輝いた「アドバンスコンポジット」AKIYOSHI氏インタビュー

激戦を制し、見事最優秀賞を受賞したのは、トップバッターとして強烈な印象を残したアドバンスコンポジットのAKIYOSHI氏だった。受賞直後の彼の率直な感想と、今後の展望について話を聞いた。
** ——Launchpad優勝、おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください。 **
** AKIYOSHI氏 ** まだはっきりと実感が湧いていません 。本当に今年は接戦だったと思います 。正直、僕自身のプレゼンの出来は、だいぶ飛ばしてしまいましたし、ここに立てたのは幸運だったと思います。ありがとうございます 。
** ——今回のプロダクトサービスの強みについて、改めて教えてください。 **
** AKIYOSHI氏 ** はい、今回は「溶湯鍛造法」というサービスで登壇させていただきました。これは「新素材ができました」というものではなく、「ありとあらゆる新素材を作ることができる技術」です。1種類、2種類、3種類だけでなく、10種類、100種類、1,000種類と、多様な新素材を作れることが一番の強みです。
** ——今後のプロダクトの展望はありますか? **
** AKIYOSHI氏 ** はい、エアコン以外にも、例えば半導体の放熱や宇宙分野など、まだまだできることはたくさんあります。ただ、どうしても弊社のリソースでは、そのすべてを一気に量産化することができない状態なので、そこを改善していけたらと考えています。
** ——今回の賞金の使い道は? **
** AKIYOSHI氏 ** まず、とりあえず今回、自腹で来ているので、僕の交通費ですね(笑)。それをどうにかしてもらうように交渉しようと思っています。真面目な話をすると、今、人を一気に増やしています。理由は、やはりリソースでボトルネックになっているところがあったからです。そちらに充てるか、もしくは特許100件以上を数年以内に取得するというお問い合わせもあるので、そちらになるんじゃないかなと思います 。
** ——今後挑戦される方やスタートアップの皆さんにアドバイスをお願いします。 **
** AKIYOSHI氏 ** 先ほども少しお伝えしたように、僕はもう勝手に動いています。2年前に弊社が資金調達を必要とした際、今の会社の状態はまずいと思って勝手に動き始めました 。それで2年経って、資金調達も成功しましたし、今、この話ができている。1年、2年で何が起きるかわからない世界だと思います。だから、どんどん外に出て、どんどん挑戦をすることをぜひやってもらいたいです。
** ——審査員からのコメントで印象に残っていることはありますか? **
** AKIYOSHI氏 ** 「クレイジー」という言葉ですね 。アドバンスコンポジットのここがすごい、みたいなコメントの中に、「素材の会社、ここいいですね。アドバンスコンポジット」というのもありましたが、弊社の何がすごいかというと、クレイジーしか言われてないような気がします(笑)。
** ——ご自身のプレゼンの評価は? **
** AKIYOSHI氏 ** 実はリハーサルの方がはるかに良かったです。リハーサルを100点とすると、本番は60点か50点でした。せき込んでしまいましたし、かみまくってしまったりしたので。プレゼンに関しては本当に反省した点ですね。
** ——IVSはどんな場でしたか? **
** AKIYOSHI氏 ** こんなにたくさん関わる方がいて、しかも今回、グローバルステージもあって、どうしてもこのマイナーなジャンルなので、今後はわかりませんが、やはりスタートアップの場に行っても分かる方が少ない、同業の方が少ないということがある中で、こういう場で人が集まるようになっているのが、すごくありがたくて良いことだと思います 。
** ——社長からの言葉は? **
** AKIYOSHI氏 ** 最初は「それ出て意味あるの?」と言われました 。その後、弊社のベンチャーキャピタルの人とかが、「IVSのLAUNCHPADに出場するだけでもすごいことですよ」とサポートしてくれて 。それで、今日「優勝してきてね」と言われました 。それが達成できて、本当に良かったです。
** ——会社には何人くらいの社員がいらっしゃるのですか? **
** AKIYOSHI氏 ** 50人弱くらいですね。この半年で15人増えました。ジャンルとしては開発の資材がメインです。
** ——人材はどこから集まってくるのですか? **
** AKIYOSHI氏 ** 15人の採用は面白いんですよ。弊社の社長の採用方針が「シニアを取る」なんです。もちろんシニアだけではないのですが、理由は良い知見を持っているからです。普通、田舎の町工場にそういう人は来ないのですが、そういう方に積極的に来てもらっています。メーカー出身の方が多いですね。
** ——AKIYOSHIさんの社内での立場は? **
** AKIYOSHI氏 ** バックオフィスの何でも屋です。かつ、勝手に動いている人です。勝手に動いて、後で社長に報告して「え?」みたいな感じです。役員ではないです。一般社員です。
** ——アドバンスコンポジットは何の会社ですか? **
** AKIYOSHI氏 ** 新素材の研究開発の会社です。研究開発、製造までやっています。厳密には金属基複合素材、Metal Matrix Compositesの研究開発製造です。
** ——優勝したことで会社での立場や応援され具合は変わってきそうですか? **
** AKIYOSHI氏 ** 変わらないんじゃないですかね。お土産を要求される値段が上がるとか、そういうのはあるかもしれませんが(笑)。社長には決勝に残る前に言いました。それ以外の人は、決勝に残ってからしか言っていません。この能力はめちゃくちゃレアだと思うんです。怒られるくらいで済むならやっちゃえばいいと思っています。
** ——ご自身については? **
** AKIYOSHI氏 ** 今後、会社が上場などを考えていくにあたって、投資家の方など様々な人が増えてきますよね。この実績を持っている人間は良いコマーシャルになるので、必然的にそういう方面の仕事が増えてくるんじゃないかなと思っています。それは結構レアな業務なので、個人的にもやりたいなと感じています。
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IVS LAUNCHPADは、単なるピッチコンテストではなく、新たな技術やアイデアが社会を変革する可能性を秘めていることを示す場であり、参加者にとっては刺激とインスピレーションに満ちた体験となった。アドバンスコンポジットのAKIYOSHI氏の優勝は、その熱気と面白さ、そして夢と可能性を象徴する出来事といえるだろう。
(文=UNICORN JOURNAL編集部)