
Jリーグの夏の移籍期間(第2登録期間)は、通常7月中旬から8月中旬にかけて設定されており、各クラブがシーズン後半戦に向けて戦力を強化する重要な時期だ。2025シーズンは冬(1月20日~3月26日)と夏(7月7日~8月20日)の移籍期間に加え、FIFAクラブワールドカップ(6月15日〜7月14日)の影響で、6月1日~6月10日に特別登録期間も設けられた。
浦和レッズはクラブW杯出場に向け、特別登録枠(プロA契約30名)を活用して戦力強化した。また、この特別登録期間を使っていち早く補強に動いたのは、J2のベガルタ仙台だ。J3高知ユナイテッドのエースストライカーで、10ゴールで得点王争いでトップを走っていた24歳FW小林心を獲得。小林は6月15日のモンテディオ山形戦(NDソフトスタジアム山形/4-3)で早くもJ2デビューを果たした。さらに同期間には、柏レイソルのFW木下康介がサンフレッチェ広島へ、川崎フロンターレのMF瀬川祐輔が柏に完全移籍した。
特に大混戦の今2025シーズンは、上位クラブが下位クラブから選手を補強するケースが目立つ。この現象は、Jリーグが「弱肉強食の時代」に突入したことを示唆している。ここでは、この現象の背景や影響、そしてJリーグの競争構造の変化について深掘りする。

資金に乏しいクラブが“草刈り場”に
夏の移籍期間は、シーズン前半の成績を踏まえ、クラブが戦力アップやケガ人の補充のために選手を補強するタイミングだ。特に、上位クラブは優勝争いやAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得を目指し、即戦力となる選手を求める。
鹿島アントラーズ、浦和レッズ、川崎フロンターレ、横浜F・マリノスといった強豪に加え、近年台頭したヴィッセル神戸、町田ゼルビアなどで見られる現象だ。これらのクラブは潤沢な予算があり、優れたスカウティング網、そしてタイトル獲得や国際舞台での活躍といった魅力的な目標を背景に、下位クラブの選手を引き寄せている。