そこで外国人向けサービスアパートメントをバタバタと作り、更に一般アパートの一部も外国人向けに改良するなどして戸数を増やしました。外国人の要望は非常に明白、且つ時として妥協を許さないのです。それに対応する最善策はサービスのカスタマイゼーションしかなかったのです。私が日本滞在中に対応した顧客はフランス、イタリア、アメリカ、アルゼンチン、韓国、中国が2件で入退去以外だけでなく様々な問題などに対処したのですが、全部、手を変え品を変えでうまく立ち回りました。

別に私が海外生活が長いからだけが理由ではありません。カナダで「聞くチカラ」と「問題解決するチカラ」を学んだのだと思います。日本人の「あるある」に頭でわかって実行が伴わないケースがあります。担当ベースではわかっているのに会社のルールの壁に打ち返される、テニスの壁打ちのようなものであります。私の場合はその壁が衝撃吸収バンパーみたいなものなので壁打ちしても玉は形を変えることができるのです。

人は年齢を重ねると頑固になる傾向が強くなります。私もそこに一番気をつけており、20代30代という若い世代の方がクライアントの主流の中、自分の考えを強く押し付けず、世の中の変化や常識観、発想の転換をもっと先読みして先回りするぐらいの心構えをしています。私が次々と新しいビジネスに挑戦するのはその度に童心に戻り、ゼロスタートを切ることができることもあります。日本でよくいらっしゃる「この道40年のプロ」は自信の塊で信念を持つ一方、頑なな姿勢を示します。例えば私が懇意にしている不動産屋の担当にも最近は会わないことが増えたのは「会っても同じことを言われるので時間の無駄」であるからです。その方は確かに仕事はできるのですが、情報を取捨選択してしまっているので話をしても面白くないのです。

業務にフレキシビリティを持たせるのは日本の社会では極めて難しい課題だと思います。それは個々人が個性を出してしまうと会社のブランドが崩れるリスクがあるからです。顧客からみて「あそこなら安心」という一定の信頼感を作り上げることでビジネスが成り立つのですが、個性は時としてビジネスの改善になることもあればマイナスになることもあります。