この傾向が強まった背景に「社会の同一化、均質化」の可能性を考えています。小学生のころからスマホが当たり前になったZ世代からアルファ世代への移行期である現代において多くの人が同じ情報を同じように読み、すべての事象がITデバイスを通じて誰でも瞬時に同じ答えを引き出すため、没個性化が起きているのが本質的背景ではないかと疑っています。
就活を終えた大学生はネットではわからない実社会のギトギトねっとりした世界を知らず、スマホから得られるキラキラした話に胸を躍らせているのです。ところが入社した途端に「違う!」というのは何時の時代でも同じですが、問題は現代人はスマホから得た均質な情報しか知らないため、メンタルの耐性がはるかに不足している可能性があるのです。
その上、企業はガバナンスと称してより細かい社内ルールを設定します。それらは一般的な企業行動規範や法律全般を元に各企業が業務に合わせて具現化した規定ですが、これがうざいわけです。言い方を変えると縄で手足を縛られ、お前の好きにはさせないぞ、というがんじがらめ状態を作るのです。
もう一つが組織内で調和がとれないことがあります。私の数々の採用面接歴でこれが退職の理由で一番多い点です。端的に言うと自分が所属する組織に嫌な奴が必ずいてその嫌な奴は避けても必ず、攻撃してくる(ように感じる)のです。語弊があるといけないのですが、大した攻撃はされていなくても本人はその一撃がとてつもなく衝撃的でメンタルの回復に時間がかかるというわけです。ここは個人差があり、先ほどのチャットGPTの理由につながる部分であります。
私どもで採用した若者(多くは女性)がカナダに求めるものは解放感であり、組織の呪縛から逃れることです。実際、私の直轄事業では超放任主義だし、他の部門でも自主性を重んじています。故に失敗も往々にしてあるのですが、我々は失敗しないような防御策ではなく、失敗した時、なぜ失敗し、どう回復させるかを学ばせる方針なのです。もちろんこのやり方は現代社会では異質かもしれませんが、皆さんがのびのび仕事をし、生活されてるのが何よりだと思っています。