文部科学省は、次期学習指導要領において、「主体的に学習に取り組む態度」を成績(評定)の対象から外し、今後は通知表の所見欄などで記述する「個人内評価」として扱う方針を示しました。これは、これまで教員の主観に頼る部分が大きく、児童生徒にとって納得感のある評価になっていなかったという問題意識が背景にあります。2030年度からの実施が見込まれています。

従来の学習評価は、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点で構成されており、このうち「主体的態度」は、挙手の回数や提出物の状況、授業中の発言などを通じて判断されることが多く、結果的に「勤勉さ」を測る代理指標のようになっていました。これが、内申点に反映されることで、高校入試や推薦入試などに実質的な影響を与えてきました。

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文科省の今回の見直し案では、評価観点を「知識・技能」と「思考・判断・表現」の2つに再編し、「主体性」については評定に直接反映せず、特に顕著な場合に限って「〇」を記述するという柔軟な扱いに変わります。これは、不登校の子どもや発言が少ない児童生徒にとって不利となる現行の評価体制を改善する狙いもあります。

そもそも「主体性」などという内面的な態度を、教師が客観的に評価すること自体が無理のある話です。定期テストやレポートのように成果として可視化されるものとは異なり、「やる気」や「積極性」といった姿勢は、教員によって解釈が分かれ、評価にバラツキが出やすい要素です。にもかかわらず、内申点という進学の可否を左右する重要な評価に組み込まれてきたことには、制度的な問題がありました。