税効果会計とは、会計と税務の認識の誤差を埋めるための調整措置のことです。

例えば、事業税のように、会計上は当期の費用にはなるものの、税務上は翌期の損金になるなど、タイミングにズレが生じるものがあります。

それをそのまま放置して決算書を記載すると、会計上の税引前当期純利益に対してやたらと当期の法人税が大きくなったり、少なくなったりすることで、正しい当期純利益を表示することができなくなってしまいます。

そこで、これらの会計上と税務上では、費用計上と損金算入のタイミングがずれるようなものについて、その法人税額相当額の加算減算することで、正しい当期純利益を表示しようというのが税効果会計です。

その際に用いる「実効税率」というものが、この防衛特別法人税導入により変更が必要になります。

たとえば、東京23区内の外形標準課税適用法人の場合、これまでの実効税率は30.62%に対し、防衛特別法人税が開始されたあとは31.52%となるとされているのです。

防衛特別法人税導入後の法定実効税率

= [法人税率 × (1 + 地方法人税率 + 住民税率 + 防衛特別法人税率) + 事業税率※] / (1 + 事業税率※)

※事業税率は特別法人事業税率を含む。

課税所得2,500万円以下の中小企業には関係ない

税効果会計をあえて適用する中小企業はそれほど多くなく、うちでも適用を求められるのは、上場子会社くらいです。

ですから、今回の防衛増税は、課税所得が約2,500万円以下の中小企業であれば、ほぼ無関係とは言えます。

しかし、課税所得約2,500万円を超える課税所得の法人については、その課税所得が2,500万円を超えた部分には、税率約1%分の法人税が増税がされるのだと思っておいてください。

まあ、今回は反発の少ない高所得法人向けだけの増税ですが、所得税については今も検討中であり、どこかのタイミングでしれっと増税はされるでしょうね。