あの有名な「ウィトルウィウス的人体図」に、現代科学をも驚かせる“隠された仕掛け”があるとしたらどうでしょうか?
ルネサンスの天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452〜1519)が描いたこの図には、実は500年もの間、誰にも解けなかった“数学的な謎”が秘められていたといいます。
そして今、その謎を解き明かしたのは、なんと歯科医でした。
英トリニティ・カレッジ(TCD)の歯科専門医、ロリー・マック・スウィーニー(Rory Mac Sweeney)氏によると、ダ・ヴィンチは自然界の設計原理をいち早く見抜いて、この人体図を完成させていたといいます。
その自然の原理とは一体…?
研究の詳細は2025年6月26日付で科学雑誌『Journal of Mathematics and the Arts』に掲載されています。
目次
- ダ・ヴィンチが仕掛けた「正三角形」の謎
- 自然界の最適な設計原理
ダ・ヴィンチが仕掛けた「正三角形」の謎
1490年頃、ダ・ヴィンチはある奇妙な人体図を描きました。
円と正方形の中に、手足を広げた裸の男性がぴたりと収まるあの有名すぎる絵、「ウィトルウィウス的人体図」です。

この図は、古代ローマの建築家、マルクス・ウィトルウィウス・ポッリオ(紀元前80年/70年頃 〜紀元前15年以降)が「人間の身体には、よく設計された神殿のように、調和の取れた比率があり、人体は円と正方形の両方に完璧に収まる」と記した考えを参考にして、ダ・ヴィンチが描いたものでした。
しかし、ウィトルウィウス自身はその理論を“どうやって図にするか”についての数学的な方法は残していません。
つまり、ダ・ヴィンチがどうやってこの人体図を完成させたのかは、長年謎だったのです。
この問題に多くの研究者が挑戦し、「黄金比(1.618…)を使ったのではないか(※ 黄金比は約1.618:1の比率で、最も美しいとされる比率の一つ)」とする主張もなされましたが、決定打には至っていません。