望まれていた学歴や職を手に入れたのに、朝起きるたびに”心が重い”と感じるようです。

しかし親に相談しても、「あんなに犠牲を払ったのに、なぜ不満なの?」と理解されません。

このように、犠牲の負債は子どもたちのアイデンティティを蝕み、抑圧や無力感を生む原因となっています

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親の犠牲に感謝し、「親が望む人生を送るべき」と感じてしまう / Credit:Canva

特にアジア系、ラテン系、中東系などの集団主義の家庭では、親の期待に応えることが”愛”の証とされやすく、男性には「家族を養え」、女性には「家族の感情面を支えよ」という性別ごとの暗黙の役割も加わり、プレッシャーはさらに強まります。

とはいえ、これを単に「親が悪い」と責めればよいわけではありません。

ファタヒ氏は次のように述べています。

「親たちは愛と強さをもって、想像を絶する苦労をしてきました。

でも、どんなに良い意図があっても、それが無意識に子どもの自由を奪うことがあるのです」

つまり、問題は”意図”ではなく、”構造”にあるのです。

もしかしたらあなたも、同じような「親からの負債」を抱えているかもしれません。

それを手放すには、どうすれば良いでしょうか。

「犠牲の負債」から自由になるには?

どうすればこの「犠牲の負債」から自由になることができるのでしょうか?

まず最初に必要なのは、この負債の存在に気づき、言葉で表現することです。

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自分が「犠牲の負債」を抱えていることを知る / Credit:Canva

両親を愛していたとしても、「親の夢を自分が背負うこと」に対して辛く感じてもいいのです。

両親が諦めたものを尊重しながらも、何が違うことを望んでもいいのです。

そのことを言葉に出してみましょう。

次に大切なのは「もし自分が完全に自由だったら、何を選ぶだろう?」という問いを持つことです。

人生の多くを”誰かの期待に応えること”に費やしてきた人ほど、この問いに答えるのは簡単ではありません。