望まれていた学歴や職を手に入れたのに、朝起きるたびに”心が重い”と感じるようです。
しかし親に相談しても、「あんなに犠牲を払ったのに、なぜ不満なの?」と理解されません。
このように、犠牲の負債は子どもたちのアイデンティティを蝕み、抑圧や無力感を生む原因となっています。

特にアジア系、ラテン系、中東系などの集団主義の家庭では、親の期待に応えることが”愛”の証とされやすく、男性には「家族を養え」、女性には「家族の感情面を支えよ」という性別ごとの暗黙の役割も加わり、プレッシャーはさらに強まります。
とはいえ、これを単に「親が悪い」と責めればよいわけではありません。
ファタヒ氏は次のように述べています。
「親たちは愛と強さをもって、想像を絶する苦労をしてきました。
でも、どんなに良い意図があっても、それが無意識に子どもの自由を奪うことがあるのです」
つまり、問題は”意図”ではなく、”構造”にあるのです。
もしかしたらあなたも、同じような「親からの負債」を抱えているかもしれません。
それを手放すには、どうすれば良いでしょうか。
「犠牲の負債」から自由になるには?
どうすればこの「犠牲の負債」から自由になることができるのでしょうか?
まず最初に必要なのは、この負債の存在に気づき、言葉で表現することです。

両親を愛していたとしても、「親の夢を自分が背負うこと」に対して辛く感じてもいいのです。
両親が諦めたものを尊重しながらも、何が違うことを望んでもいいのです。
そのことを言葉に出してみましょう。
次に大切なのは「もし自分が完全に自由だったら、何を選ぶだろう?」という問いを持つことです。
人生の多くを”誰かの期待に応えること”に費やしてきた人ほど、この問いに答えるのは簡単ではありません。