タイプ1の人は、少量のアルコールでも急激に顔が赤くなり、めまいやふらつきなど強い症状を感じます。
タイプ2の人は、ある程度までアルコールを摂取しても特に大きな変化はありませんが、量が増えるにつれて徐々に酔いを実感し始めます。
一方、タイプ3の人はかなりの量を摂取しても目立った症状が現れにくく、酔った実感があまりないという特徴が見られました。
次に研究者たちは、この3つのタイプに遺伝子がどのように関連しているのかを、お酒の酔い方に関わる遺伝子として以前から注目されていた「ALDH2」と「ADH1B」という2つの遺伝子を対象に調べました。
するとこの3タイプと、アルコール代謝に関与する遺伝子(ALDH2およびADH1B)の遺伝型が統計的に有意に関連していることも明らかになりました。
具体的には非常に強く酔うタイプ(タイプ1)は、は、ALDH2遺伝子の変異型(ALDH22)が最も大きく影響を与えており、飲酒後の早い段階(30分後)から強く症状が現れます。
一方、最初はそれほど酔わないが徐々に症状が現れるタイプ(タイプ2)では、ALDH22もある程度存在しますが、特にADH1B遺伝子の変異型(ADH1B2)を最も高頻度で持つタイプであり、飲酒開始直後ではなく、時間が経つにつれて症状が現れるという特徴を持っています。
そのため、このタイプは飲み始めはあまり症状が出ないものの、時間が経つにつれて徐々に酔いの症状が顕著になります。
そしてなかなか酔わないタイプ(タイプ3)の場合は、ALDH22の保有率が比較的高く、ADH1B*2の頻度もタイプ2ほど高くないという遺伝子型の組み合わせを持っており、全体としては症状が軽く、なかなか酔わない特徴を示しています。
そのため、このタイプはアルコール摂取後も症状が現れにくく、お酒に強い体質と考えられます。
この結果は、普段何気なく観察されているお酒の強さの違いを科学的に初めて明確に裏付けるものとなりました。
『酔い方タイプ』が分かれば病気や依存症も防げる
