日本共産党の長期党勢衰退

日本共産党の党勢が長期衰退している。党員数の減少が止まらず、党員の平均年齢も高齢化し、機関紙赤旗の発行部数も減少している。党員数は30万人を割り、赤旗も100万部前後に減少した。

これらは国政選挙の得票数や党財政にも影響する。昨年の衆議院選では比例得票数は300万票台にまで落ち込み、先日の都議選でも、当選者数が19名から14名に後退した。

党勢衰退の歴史的社会的背景

党勢衰退の歴史的社会的背景は、日本をはじめ先進資本主義諸国における資本主義の発達・高度化が最大の原因である。

すなわち、資本主義の発達・高度化により、マルクスの主著「資本論」やエンゲルスとの共著「共産党宣言」で予言した労働者階級の窮乏化が起こらなかった。

むしろ、先進資本主義国では労働者の名目賃金が不断に上昇、生活水準が向上し、社会保障制度が整備されたこと、不断の技術革新により専門的・技術的就労者(中間層)が増え階級闘争意識が希薄になったこと、先進国では暴力による社会主義革命ではなく、選挙による政権交代のみを認める議会制民主主義制度が定着していること…などが指摘できる。

このように、資本主義の発達・高度化による生活水準の向上により、もはや労働者階級は、「革命においては鉄鎖以外に失うべき何物も持たない」(マルクス・エンゲルス著「共産党宣言」)とか「賃金奴隷である」(レーニン著「国家と革命」)などとは到底言えないことは明らかである。

日本共産党が温存する人権弾圧の「プロレタリアート独裁」

このような党勢衰退の歴史的社会的背景を考えると、労働者階級を含む国民の大多数が、「自由と民主主義」を享受する現存の資本主義体制を打倒し、「プロレタリアート独裁」(共産党一党独裁)を不可欠とする「社会主義・共産主義社会」の実現を待望する社会的必然性はない。

それにもかかわらず、日本共産党は、いまだに「科学的社会主義」(マルクス・レーニン主義)に基づき「社会主義・共産主義社会」の実現を目指すことを宣言している(党規約2条。党綱領五=15)。