AI技術の進化も、この問題に拍車をかけている。

AIはリップサービスや共感を提供することが得意で、それに癒やしを求める人も増えているというニュースが話題になった。だが、本来は問題行動なのに「あなたはそのままでいい」と言われ続ければ、ドンドン社会性がなくなり周囲から人が離れていくと思うのだ。

たとえば、認知の歪みで物事をフラットに見られなくなれば、正しい視点へ修正した方が良いのは明らかだ。長期的には大きなつけを払うことになる。だが、そのまま長く生きて人格になればもう誰も矯正できなくなってしまう。

それがわかっているから筆者はAIに異なる役割を求めている。記事や動画、その他、自分の仕事の成果物や考え方について「多面的、建設的批判の視点でダメな点やマーケットから乖離している点をできるだけ多く指摘してください」と依頼するようにしている。

「改善しましょう」と言われると修正を余儀なくされるので大変ではあるが、目指すべきは自己成長なので厳しいダメ出しがむしろ心地良いし、リップサービスばかり続くとかえって不安になってしまう。

AIを「癒やし」に使うか「成長のツール」に使うかで、将来的な成果に大きな差が生じる。AIの使い方自体が、新たな格差の要因になり得るのだ。

「注意されない社会」から脱却するには、個人と組織の両方で意識を変える必要がある。今日から簡単で無料できる具体的な策としてはAIに「自分の改善が必要な点を指摘して」と頼むことだ。しっかり頼まないと誰からも注意されない社会、そのくらいしなければモンスターになる未来が待っている。

 

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