“期待値を裏切る出会い”を生む会場設計

マーケットの場所はCentral Park。会場のど真ん中に位置し、来場者が必ず通る動線上に設置されている。「展示が混んできたら僕が交通整理していると思います」と笑う上中氏。現場で汗をかきながらも、来場者が偶発的にスタートアップと出会える“設計”にこだわっている。
さらに上中氏は、「一社でも“会いたい”企業があるなら、それだけで来る理由になる。出展すれば必ず何かが起こる、そんな場を目指している」と強調する。
IVS Startup Marketが日本のスタートアップエコシステムに与える影響について、上中氏は「IVSは起業家と投資家のマッチングが最も重要であるし、それが一番のメインコンテンツであるという点は揺るがない」と、IVSの根幹にある考えを強調する。これはIVS代表である島川敏明氏の想いだ。
その上で上中氏は、「このスタートアップマーケットは、それを具現化しやすい施策の一つだと考えています」と、その意義を語った。
最後に、IVS参加を迷っている人へ向けて、次のように力強くメッセージを送る。
「IVSは門戸が広くて、スタートアップ初心者にも開かれた場所です。トレンドを知りたい人、新しい人と出会いたい人、まず来てみてください。僕みたいにIVSが転機になる人もきっといる。人生を変える“偶発的な一歩”が、IVSには詰まっていると思います」
スタートアップを主役に──起爆剤としての「マーケット」
上中氏が託された“第1回目”のIVS Startup Market。彼の言葉には、自らのキャリアを重ね合わせた熱が込められている。
「IVSはネットワークが主役です。その中で、スタートアップが”真の主役”になる仕掛けがマーケットだと思っています。出展すれば資金調達が決まる、商談が生まれる──そうなれば、IVSが“行く価値ある場所”として確立されるでしょう」
「IVSはあくまでネットワーキングを主体として、その横にセッションがあるというところに今回は枠組みを変えています」と、上中氏は今回のIVSのコンセプトを説明する。そのうえで、「偶発的な出会いは大事にしたいし、必然的な出会いも大事にしたい。おそらくスタートアップマーケットが似合うのは、必然的な出会いのほうです」と語り、「1社でも会いたい企業があるなら来てほしい」と、来場を促す。
「出展者が、来場者が、VCが、それぞれの目的を叶える。その化学反応を起こせる場として、IVS Startup MarketがIVS全体のエンジンになればいい」
“偶然と必然が交差する場所”。それがIVS Startup Market──日本のスタートアップエコシステムに、確かな一石を投じることになるだろう。
(文=UNICORN JOURNAL編集部)