心構え:「お客様」はいない。全員が”作る側”である

 まず、IVSに臨む上で最も重要なマインドセットを、岡田氏の力強い言葉から紹介したい。

「IVSは、受け身で何かがもらえる場所では絶対ありません。皆さん、作る一員として巻き込まれています。そこを勘違いして『お客さん』として来ると、多分、全然面白くない」

 この言葉こそがIVSの本質だ。チケットを買ったからといって、誰もが「お客様」ではない。起業家、投資家、大企業の担当者、学生、その場にいる全員がエコシステムを構成する当事者なのだ。「この3日間でビジネスチャンスを掴むぞ」「最高の仲間を見つけるぞ」という主体性を持つ者だけが、その価値を享受できる。

【IVS中の人が本音で語る】IVS 2025を使い倒すための完全攻略法の画像2
(画像=『Business Journal』より引用)

成功は準備で決まる! 島川代表が「まずやって」と忠告する3つのこと

 熱気に満ちた会場で最高のスタートを切るには、入念な事前準備が不可欠だ。島川代表が「これだけはやってほしい」と語る、3つの必須準備項目を紹介しよう。

** 1.【最重要】公式アプリで”会う約束”を取り付けろ! **

 今年から導入された公式アプリ「4S」。その最重要機能が「マッチング(ミーティング)機能」だ。IVS代表の島川氏は、その重要性をこう断言する。

「まずそれをやってください。お会いしたい方がいたら、20分のアポイントメントを事前に申請できるので、それをやっていただくと、すごく有意義な3日間を過ごせるんじゃないかなと思っています」

 確かに、アポを設定しないと、広大な会場で目当ての人を探すのは至難の業だ。会いたかったキーパーソンとの貴重な出会いを逃すことになりかねない。他の運営陣からも、「『元が取れたな』と思う状態までアポを設定していくのが絶対おすすめ」と参加者目線で力説する。会場での偶然の出会いに期待するだけでなく、開幕前に「勝利」を確定させておく。これがIVSを使いこなす猛者たちの常識だ。

** 2. “テーマパーク”を歩くように、7つのゾーンを攻略せよ **

 今年のIVS会場は、単一の空間ではない。Whiplus氏は「ある意味、テーマパークみたいな感じ」と表現し、島川氏も同調する。AI、ディープテック、エンタメなど7つの「テーマゾーン」に分かれており、それぞれにステージやネットワーキングエリアが設置される。

「ゾーンごとに特色が全然違うので、皆さんもモードを切り替えてほしい。例えばGlobal Zoneでは英語しか聞こえてこないですし、Deep Tech Zoneは本当にギークな話が繰り広げられている。自分の目的に合わせて、戦略的に歩き回ってほしいです」

 漫然と歩き回るだけでは、自身の目的に合わない情報に埋もれてしまい、貴重な時間を無駄にするリスクがある。公式サイトのタイムテーブルと“にらめっこ”し、「この時間はAIゾーンでセッションを聞き、その後ディープテックゾーンでキーパーソンを探す」といった自分だけの攻略ルートを事前に描いておくことが、3日間を最大限活用する鍵となる。

** 3. “本当の戦い”は夜にあるーー「サイドイベント」をハシゴせよ **

 IVSの熱量は、日中の公式プログラムだけでは終わらない。むしろ本番は夜かもしれない。京都市内の各所で、参加者が主催する非公式の「サイドイベント」が約300も開催されるのだ。

「エンタメ好き集まれ」「20代限定」など、テーマで区切られたクローズドなコミュニティは、熱量の高い出会いの宝庫。約300ものサイドイベントは、昼間の公式プログラムでは味わえない、よりカジュアルでディープな交流の場となる。特定の業界やテーマに特化したクローズドな会では、参加者同士の距離がぐっと縮まり、思わぬコラボレーションや、未来のビジネスパートナーとの出会いが生まれることも珍しくない。

 運営陣も「昼はIVS、夜はサイドイベントのホッピングというのが、IVSのすごく有意義な過ごし方」と口を揃える。IVS公式サイトから一覧を確認し、面白そうなイベントには今のうちに登録を済ませておこう。少し多めのイベントに登録し、合わないと思えばすぐに退出し、次のイベントへ移動することで、自分にとって有意義な出会いを実現できる可能性が高まる。