過酷な宇宙飛行を生き延びた彼らの姿は、まさに“甲羅を背負った宇宙飛行士”そのものでした。

この偉業は、世界中で一部報道されたものの、NASAの技術者たちは冷ややかな目で見ていたといいます。

「これは単なる“最後の一手”に過ぎない」として脅威とは捉えず、反対に「主導権は我々にある」ことを確信しました。

実際、ゾンド5号の宇宙船は人間の生命を支えるには不十分であり、アポロ計画を急がせる理由にはなりませんでした。

その約3カ月後、アメリカは3人のクルーを乗せたアポロ8号を打ち上げ、人類初となる月周回を成功させます。

さらに1969年7月には、アポロ11号が史上初となる人類の月面着陸に成功させ、宇宙開発レースはアメリカ側の勝利で幕を閉じたと言えるでしょう。

しかしその歴史の影では、カメの宇宙飛行士たちが人間よりも先に月を周回していた知られざる功績があるのです。

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参考文献

Humans Weren’t The First Species To Travel Around The Moon. They Lost This Race To An Unexpected Animal
https://www.iflscience.com/humans-werent-the-first-species-to-travel-around-the-moon-they-lost-this-race-to-an-unexpected-animal-79802

First earthlings around the Moon were two Soviet tortoises
https://www.astronomy.com/space-exploration/first-earthlings-around-the-moon-were-two-soviet-tortoises/

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。