赤沢大臣が臨んだ7回目の訪米交渉も厳しかったようで毎週通うのではなく、ワシントンに延長滞在に変更しようとするも7月4日が独立記念日で日程的にはタイトで更なる交渉の物理的余地が少なく、あきらめて帰国されます。交渉の隔たりは自動車関税にあるとされます。詳細は全くわかりませんが、日本側は相当タフな交渉を継続しています。私が思うに赤沢氏は反トランプではないけれど懐柔に近いスタンスではないかと思います。少なくともひと昔前は日本はアメリカに服従型でしたのでその熱意には脱帽です。(但し、トランプ氏はこれ以上の交渉を望んでいない様に見受けられます。)
では基軸通貨ドルの代替は進むのか、というお題に対してじわじわと進む確率はかつてなく高まっています。では欧州のようにユーロを国際通貨にしようとする明白な動きや中国が元の国際化を目指すなど通貨の国際化花盛りになっていていますがそれが高じるとどうなるのでしょうか?
ずばり通貨の多極化が起きる可能性を見ています。世界で4極ぐらいの通貨ベースができてもおかしくないでしょう。そしてその4極をつなぐ役割の一端を担うのが金と仮想通貨という見立てを想像しています。仮想通貨は安定通貨としての価値には程遠いのですが、ごく短期の価値交換手段としての機能は既に兼ね備えており、仮に世界に複数の通貨極ができた場合、相互のやり取りを仮想通貨で行うことは可能だとみています。
その場合、仮想通貨をある程度交換準備手段として「備蓄」しておく必要がでてくるでしょう。金や仮想通貨は政府保証通貨ではないため、国境がなく、だれもが世界共通の相場に基づいて価値認識できるというメリットがあります。一方、ドルや元、ユーロにしても政治的背景が強く、それは一夜にして政変による不安定感が生まれるのです。これをマネーの世界は嫌うわけです。
ではその中で円はどうあるべきか、です。夢物語を言うなら東南アジアで円が基軸になれる野望を持てればよいと思っています。1980年代に円の国際化が真剣に検討されたことがあります。71年のニクソンショック、73年の石油ショックが契機で83年にレーガン大統領の発声で「日米円ドル委員会」が発足、円の国際化が真剣に取りざたされています。ところがこれはバブル崩壊と共に水泡に帰しています。円の国際化という議論があったこと自体、今の方には驚きの事実なのかもしれません。