他者と親密な関係を築くことは、多くの男性にとって一種の「恐れ」を伴います。

「自分をさらけ出したら拒絶されるのではないか」「うまく振る舞えなかったら失望されるかもしれない」といった不安が先立ち、つい感情を隠してしまうのです。

例えば、ある男性は悩みを持っているものの、「頼られたい」「強くありたい」という思いから、パートナーに何も言わずに抱え込み、結果的にすれ違いが生じることがあるかもしれません。

では、自分をさらけ出せずに孤立してしまいがちな男性たちは、どのように対処すべきでしょうか。

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成果ではなく、他者との触れ合いの「体験そのもの」に集中する / Credit:Canva

フィル・レイン氏は、「結果」や「評価」から離れて、今この瞬間に意識を向けることの大切さを強調しています。

他者と共に過ごす時間においても、「何が正しいか」「どんな結論になったか」「何を成し遂げられたか」「効率はどうだったか」という思考を捨てるべきです。

本当に大切なのは、その瞬間に得られる「身体的な感覚」「感情的な繋がり」「安心感」であり、そこに集中してみましょう。

余計な雑念を手放し、『今ここ』に集中することで、心の壁が少しずつ下がっていきます。

この感覚を意識するなら、自然と自分をさらけ出すことができ、他者とより親密な関係を築けます。

「男らしさ」という幻想を壊す

「男なんだから泣くな」「感情的になるのはみっともない」

そんな言葉を、子どもの頃に聞いた記憶はありませんか?

こうした考え方の中で過ごすと、男性たちはいつも強いプレッシャーを感じたり、劣等感を抱いたりするようになります。

フィル・レイン氏は、自身の子ども時代を「感受性が強く、読書や芸術を好み、すぐに疲れてしまう少年」と表現しています。

そんな自分を、「男らしくない」として批判された経験もあるといいます。

しかし現在、彼はセラピスト、著者、父親として、その「感受性」こそが最大の強みだったと振り返ります。

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「男らしさ」の固定観念を打ち崩すべき / Credit:Canva