伝説は死なず – ポップカルチャーに棲みつく怪物

 結局のところ、モンゴリアンデスワームの物理的な証拠は一つも見つかっていない。目撃談も1950年代をピークに途絶えがちだ。しかし、怪物は死ななかった。それは人々の想像力の中へと棲み処を移し今も生き続けている。

 映画『トレマーズ』に登場する地中怪物「グラボイド」や、SF小説の金字塔『デューン/砂の惑星』の巨大な「サンドワーム」は、モンゴリアンデスワームから着想を得たと言われている。2010年には、そのものずばりのテレビ映画『モンゴリアン・デス・ワーム/赤い砂漠の怪物』が製作され、SNSでも定期的に話題に上るなど、その存在感は衰えを知らない。

 科学的には「誤認」の一言で片付けられるかもしれない。しかし、ゴビの砂の下に眠る「オルゴイ・コルコイ」の伝説は、自然への畏怖と未知なるものへの尽きない好奇心が生み出した、人類の豊かな文化遺産そのものだ。証拠はない。だが、それでいいのかもしれない。なぜなら、地球上にはまだ、私たちの知らない何かが眠っていると信じるロマンが、そこにはあるのだから。

ゴビ砂漠に潜む“モンゴリアンデスワーム”の正体とは? 触れると即死、電気ショック… 伝説の怪物『オルゴイ・コルコイ』100年の謎の画像5
(画像=画像は「Amazon」より)

参考:WikipediaAtlas ObscuraLive ScienceHowStuffWorksCryptid Wiki、ほか

文=青山蒼

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