ゴビ砂漠の広大な砂の下に、今もなお人類の到達を拒む怪物が眠っているという。その名は「モンゴリアンデスワーム」。触れるだけで即死する猛毒を持ち、離れた敵には電気ショックを放つという。体は真っ赤な腸のようで、頭も手足もない。このおぞましい怪物の伝説は、100年近くにわたり探検家や研究者たちを惹きつけ、そして絶望させてきた。果たして、それは単なる迷信か、それとも未知なる生物(UMA)なのか。果たして、その正体は科学で説明できるのか、それとも私たちの知らない何かなのか。100年にわたるミステリーの深淵を覗いてみよう。
恐怖の伝説「オルゴイ・コルコイ」
モンゴリアンデスワームは、現地では「オルゴイ・コルコイ」と呼ばれる。「大きな腸のワーム」を意味するその名は、まさしくその姿を言い表している。目撃談を総合すると、その特徴は以下のようになる。
** 姿 ** :ソーセージのように太く、血のような赤い色をしたワーム状の生物。体長は60cmから、大きいものでは1.5mにも達する。頭も目も口も、そして手足もない、のっぺりとした外見。
** 能力 ** :その体には猛烈な毒があり、触れるだけで人間や家畜を即死させる。さらに、遠くの獲物に対して腐食性の毒液を噴射したり、強力な電気を放って仕留めることもできるという。
** 生態 ** :普段はゴビ砂漠の砂深くに潜んでおり、雨が降った後、水場近くの地表に姿を現すとされる。砂の中を移動する際には、地表に波のような盛り上がりができるという。
これらの特徴は、まるでSF映画から飛び出してきたかのようだ。しかし、この伝説はモンゴルの人々にとって、単なる作り話ではなかった。

100年の探求史 – 西洋世界を震撼させた怪物
この怪物が西洋世界に知られるきっかけとなったのは、1926年、アメリカの著名な古生物学者ロイ・チャップマン・アンドリュースが著書『古代人の痕跡を追って』で紹介したことによる。彼自身は懐疑的だったものの、当時のモンゴルの高官たちがその存在を固く信じていることに衝撃を受けたという。
その4年前の1922年には、当時のモンゴル首相ダムディンバザルが「ソーセージのような形で長さは約2フィート。頭も脚もなく、あまりに毒性が強いため、触れるだけで即死する」と、極めて具体的に記録を残している。
この衝撃的な伝説に魅せられ、数多くの探検家がゴビ砂漠へと足を踏み入れた。チェコの未確認生物研究家イワン・マッケルレは生涯をかけて3度も調査隊を送り込み、イギリスのリチャード・フリーマンも後に続いた。しかし、彼らが持ち帰ったのは、決定的な物証ではなく、地元民からのさらなる目撃談だけだった。誰もその姿を写真に収めることも、死骸を手にすることもできなかったのだ。