トランプ氏の話題は尽きないですが、大半の方は「それでもアメリカは偉大。アメリカを避けて通るわけにはいかない」と考えます。特に日本は戦後、アメリカと独特の関係を維持してきたので今更「離婚できない」わけです。この離婚とは単なる経済的つながりのみならず、安全保障や社会、政治、文化などあらゆる方面でたより過ぎたのが理由です。一方、世界一長い国境を接するカナダとは厳しい関係が続き、家庭内別居状態と言ってよいでしょう。そのカナダは「世界にもっと目を広げるべきだった」とし、政策の大幅な方針転換が見込まれます。アメリカ追随からアメリカはone of themへ、です。
「なぜアメリカか?」といえばそこは技術や情報の発信基地だと考えられているからです。3.4億人が強い個性と明日の糧を求めてうごめくそのダイナミズムが生み出すアウトプットは他国ではまねできないのです。トランプ氏は無茶苦茶だ、と異口同音に唱えます。マスク氏も酷かったな、バンス氏も成り上がりだよな、でもバイデン氏も今思えば散々さ、と言いながらも窮地から脱するためにアメリカ国民はこれでもか、というほどの情熱と実行力で乗り越える力を見せ、少なくともカナダでも日本でも全く真似できません。とすればアメリカは利用すべき国だと捉えるのが私はもっとも気楽なのではないかと思うのです。
つまり、つかず離れずの関係で都合の良いところだけ取り込めばよいのです。アメリカからは「お前の優先度は下がるからな」と言われても「しょうがないですね、でも今後もよろしく」ぐらいでよいのだと思います。むしろ日本には日本にしかできない強みがあるはずです。アメリカからそのうち「俺ともう一度仲良くしようぜ」と言われたら「お前が態度を改めたらな」と言い返すぐらいの強気になれる潜在性はあると思うのです。日本は安売りする必要はないのです。日本製鉄のUSスチールの話は美談のように伝えられています。しかし韓国の現代製鉄もアメリカに3兆円つっこんで現地化を進め、現地生産をする現代自動車にも製品を提供します。アメリカの製鉄業界が儲かる仕組みはそう簡単ではないのです。トランプ氏に乗せられず、沈着冷静な判断が求められるところです。