一方で、SoFiは自社のローン事業において「6.01%」という業界平均の倍近い驚異的な純金利マージンを実現している。この高収益構造こそが、LPBのようなビジネスにおいても他社と利益を分け合う余地を生み出す下地となっている。

よって、SoFiのように自社会員基盤(しかも申請を却下したユーザー)を活用し、審査・融資・ローン組成・ユーザー紹介を一貫して自社で行い、手数料を得るビジネスを大規模かつ垂直統合的に展開できる企業は極めてまれで、他社は容易に模倣できない。

また、SoFiの法人顧客(提携金融機関やファンドなど)にとっても、その利便性は非常に高い。資金を拠出し、貸出条件を指定するだけで、ユーザーの選別・契約・融資・管理・回収までを一気通貫で担ってくれるプラットフォームで、信用審査や申込対応にリソースを割く必要はない。

さらに、ユーザー視点でも利便性は非常に高い。以下のステップを経ることで、申し込みから融資完了までを1日以内で完結することも可能だ。

SoFiアプリ上で年収・職業・信用情報などを入力し個人ローンを申し込み 独自スコアリングモデルにより「SoFi基準に合致するか」を自動判定 SoFi基準に満たない場合、SoFiと提携する法人顧客の条件に合うローンを提示 ユーザーが条件に納得しサインすれば、そのままSoFiの同一アプリ内で手続きが完結

数日~数週間を要する従来の銀行と比較しても、圧倒的なスピード感を備えている。

以上の点から、SoFiのLPBモデルは今後も他社の追随を許さない高い競争優位性を維持し続け、「ゲームチェンジャー」となり得るだろう。

次回後編では、SoFiの金融サービス事業において、LPBに続く成長エンジンとなる「Money(預金口座)」の構造や、暗号資産などの新領域を横断的に分析し、SoFiの多層的な収益モデルに迫る。

(後編につづく)