LPBの拡張余地は非常に大きく、すでに確立された顧客基盤を活用することで、追加のマーケティング投資なしにスケールできる点も大きな強みである。加えて、現在は個人ローン向けのみに提供されているLPBが、将来的には学生ローンや住宅ローン向けにも展開される可能性がある。

LPBの独自性と優位性

一見すると、LPBはローンを第三者に紹介する「仲介モデル」に見えるかもしれない。しかし、他社が容易に模倣できるビジネスではない。

 

SoFiの強みとしては、以下の点があげられる。

会員数は全米1,000万人超、信頼感・知名度があり、多くの利用者が集まる 申し込みから審査・契約まですべてがスマホ1つで完結する洗練されたアプリ AIを活用した自社開発の審査モデルを使い、ユーザーの信用力を迅速かつ正確に判定 お金を預ける・借りる・運用するといったあらゆる金融サービスを1つのアプリ内で完結(銀行免許を持つ強みを活かした「金融スーパーアプリ」的な存在)

競合フィンテック企業が仮に同じようなビジネスを始めようとしても、①全米1,000万人超の会員を抱えるブランド力、②直感的で完結性の高いアプリ設計、③高度な審査ノウハウとデータ分析基盤、④厳格な金融規制への対応力など、いくつもの壁を乗り越える必要がある。そもそも銀行免許を取得している米国フィンテック企業は極めて少ない。

また伝統的な銀行も追随は極めて難しい。なぜなら、銀行は「自分たちのお金を使って貸すこと」がビジネスの基本であり、他の金融機関の代わりにローンを組むという考え方がそもそも一般的ではない。

加えて、2025年第1四半期の銀行業界の平均純金利マージン(Net Interest Margin)は3.25%にとどまる。仮にこれを他社と折半すれば1.5%程度しか残らず、そこから人件費や管理コストを差し引くと、赤字に陥る可能性もある。

※ 純金利マージンは、(貸出による利息収入-預金などに対する利息支出)÷利息を生む資産(貸出残高など)で計算される。