一体、この「ひらめき」はどのようにして生まれるのでしょうか?

科学者たちはこの謎を100年以上前から解き明かそうとしていますが、まだ明確な答えは得られていません。

昔から、「一晩寝て考えたらいい」とよく言われますが、睡眠は本当にひらめきを助けるのでしょうか?

実際、睡眠が記憶を定着させたり、記憶の整理や再編を行ったりすることは、多くの研究で証明されています。

この睡眠中に脳が情報を整理する働きを「インキュベーション効果(熟成効果)」と言い、睡眠が問題解決を後押しする可能性に注目が集まっています。

しかし、睡眠がひらめきを引き出すという説には矛盾もあり、明確な結論が出ていないのが現状です。

特に最近のある研究は、「完全に眠る直前の浅い眠り(N1睡眠)」こそが、ひらめきをもたらす特別な状態だと報告しました。

この研究が広まったことで、「ウトウトしている時に良いアイデアが浮かぶ」という考え方が定着しつつあります。

ところが今回、ドイツの研究チームが注目したのは、それよりもう少し深い「N2睡眠」という状態でした。

睡眠には実はいくつかの段階があり、N1睡眠よりさらに深いN2睡眠こそが、ひらめきを生み出すのではないか、と研究者たちは考えました。

浅い眠りと深い眠り、ひらめきを呼ぶのは一体どちらなのでしょうか?

研究チームはこの謎を解明するために、ある実験に取り組みました。

深い睡眠が「ゆらぎ」を起こしている

「20分」の魔法:深い睡眠が「ひらめき」を起こす秘密とは?
「20分」の魔法:深い睡眠が「ひらめき」を起こす秘密とは? / Credit:Canva

浅い眠りと深い眠り、ひらめきを呼ぶのは一体どちらなのでしょうか?

その答えを得るため研究者たちはまず、若者90人にある簡単なゲームをプレイしてもらいました。

これは画面上を動くたくさんの点を見ながら、その動きに応じてボタンを押すというシンプルな課題でした。

しかし、実はこのゲームには「隠された近道」が仕組まれていました。