研究チームは、これらの自己愛タイプが、戦争や平和に対する態度にどう影響しているかを調査しました。
その結果、自己愛のタイプによって「戦争を是とする」か「平和を望む」かの傾向が明確に分かれることが示されたのです。
「戦争を支持する人」「平和に賛同する人」はどの自己愛タイプか?
チームは今回、ポーランド在住の成人789人を対象に、誇大的自己愛の4タイプと、それが戦争と平和に対する態度や行動の傾向にどう影響しているのかを詳細に分析。
データ分析の結果、まず最も戦争を支持する傾向が強かったのは「対抗タイプ」でした。
彼らは他人を見下したり、力で優位を示したりすることに価値を見いだしやすく、その攻撃性が戦争への肯定につながっていると考えられます。
しかも、平和への支持は最低レベルで、対話や共存よりも「敵を倒すこと」を優先しやすい傾向が見られました。
次に多かったのが「賞賛タイプ」です。
このタイプの人は「祖国のために戦うこと」や「英雄的な行動」を通じて、自分が注目されることに強い魅力を感じます。
つまり、「戦争で名を上げたい」という内面の欲求が、戦争肯定につながっている可能性があります。
一方で、戦争を否定し、平和を強く支持したのは「聖性タイプ」でした。
彼らは「他者を思いやる」「道徳的に正しい選択をする」といった価値観を重んじる傾向があり、戦争の破壊性や非人道性に強く反発します。
平和集会への参加意欲も高く、「対抗タイプ」とは真逆の傾向を示していました。
興味深いのが「英雄性タイプ」です。
彼らは一見、平和を守ろうとする意志が強いように見えますが、必要であれば「戦うことも辞さない」という矛盾した態度を持っていました。
つまり、「自分は人々を守るために行動する」という信念が強すぎるあまり、手段としての戦争も容認するという複雑な立場にあるのです。

さらに、このような態度の背景には、個人の価値観も深く関係していることもわかりました。