「国のためなら戦うべきだ」と思う心理の裏には、自分を特別だと感じたい欲求が隠れているのかもしれません。
「戦争は時に必要だ」と考える人と、「平和を守りたい」と願う人。
この違いは、単なる政治的立場の違いではなく、深層心理の“性格特性”に関係している可能性があります。
ポーランドのステファン・ヴィシンスキ枢機卿大学(UKSW)の最新研究で、戦争への支持は、誇大的なナルシシズム(自己愛)傾向と強く結びついていることが明らかになりました。
研究の詳細は2025年3月31日付で学術誌『Personality and Individual Differences』に掲載されています。
目次
- 自己愛は4つのタイプに分かれる
- 「戦争を支持する人」「平和に賛同する人」はどの自己愛タイプか?
自己愛は4つのタイプに分かれる

私たちが一般に「ナルシスト(またはナルシシスト)」と呼ぶ人物像には、実はさまざまな形があります。
今回の研究が注目したのは、いわゆる「誇大的自己愛(grandiose narcissism)」と呼ばれるタイプで、自信過剰で自分を過大評価し、称賛されたいという欲求が強い性格です。
ただし「ナルシシスト」と聞くと、何か「嫌なやつ」のように聞こえるかもしれませんが、ナルシシズム(=自己愛)の傾向は誰もが少なからず持っています。
問題なのは、どのような自己愛のタイプであるかという点です。
そしてこの誇大的自己愛は、以下の4つのタイプに分類されます。
・賞賛タイプ(Admiration):自分を特別な存在として賞賛されたい。名誉や地位への欲求が強い。
・対抗タイプ(Rivalry):他人を見下し、攻撃的に自分の優位を誇示する傾向がある。
・聖性タイプ(Sanctity):自分を道徳的に優れた存在だと信じている。
・英雄性タイプ(Heroism):自分を「守護者」や「救済者」として位置づけ、他者を守る使命感を強く抱く。