●この記事のポイント ・米国では「結局、AI開発競争でもグーグルの圧勝に終わる」という言説が一部で話題になっているという ・AIモデルの性能だけではなくてコストパフォーマンスが重視されるフェーズに変わり、グーグルが有利に ・パーソナルAIエージェントの競争ではマイクロソフトとグーグルが有利か

 今、米国では「結局、AI開発競争でもグーグルの圧勝に終わる」という言説が一部で話題になっているという。確かに、直近におけるグーグルのAI開発に関する動きのスピードはすさまじい。3月、同社は「もっともインテリジェントなAIモデル」と説明する「Gemini 2.5」を発表し、「Gemini2.5 Pro」を1.25ドル(20万トークン以下)、2.5ドル(20万トークン超)で提供開始。これを受けOpenAIは4月、1カ月半前にリリースしたばかりだった「GPT-4.5」を廃止すると発表。価格は100万トークン入力につき75ドルと高額だったが、多くのベンチマークで「Gemini2.5 Pro」のほうが上回っていたためだ。

 今月20日に開催されたグーグルの開発者向けイベント「Google I/O 2025」では、新AIエージェント「Project Astra」や拡張現実(XR)向けプラットフォーム「Android XR」としてGeminiを搭載したメガネ型デバイスとヘッドセットの開発、AIと会話できる機能「Gemini Live」でのカメラと画面共有機能の無料提供(AndroidとiPhoneに対応)、生成AIを活用した映像製作ツール「Flow」の提供、グーグル検索への「AIモード」導入などを一気に発表。なかでも「Gemini 2.5 Pro」と「Gemini 2.5 Flash」の機能強化により搭載された、会話の流れに沿った抑揚で応答する「Native audio output」(ネイティブ音声出力)や、ユーザーに代わってAIがブラウザ操作やアプリケーション操作、フォーム入力などを行う「Project Mariner」などが話題を呼んでいる。このほか、コード生成やバグ修正、コーディングタスクの分解などを行えるAIコードエージェント「Jules」も注目されている(現在はベータテスターを募集中)。果たしてネット検索市場の覇者であるグーグルが、AI開発競争でも覇者となるのか。また、なぜ同社は他社をリードできているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次