一度発症すると治ることはないと言われる糖尿病。

中でも2型糖尿病は、生活習慣病として知られ、世界的にも患者数が増え続けている深刻な病です。

しかし最新の研究により、この病のリスクは食生活や運動習慣だけでなく、「仕事のタイプ」もいくらか関係していることが明らかになりました。

スウェーデンのカロリンスカ研究所(Karolinska Institutet)の研究チームが、約300万人に及ぶ大規模な追跡調査を実施し、特定の職業タイプに就いている人は、2型糖尿病を発症するリスクが高まることを報告しました。

この研究成果は2025年6月24日付の『Occupational and Environmental Medicine』誌に掲載されました。

目次

  • 糖尿病リスクと「人と接する職業」の関係を調査
  • 「人と接する仕事」に就く人は糖尿病になりやすかった

糖尿病リスクと「人と接する職業」の関係を調査

2型糖尿病とは、膵臓からのインスリン分泌が不足したり、インスリンが効きにくくなること(インスリン抵抗性)によって血糖値が慢性的に高くなる疾患です。

進行すると視力障害、腎不全、心血管疾患などを引き起こし、生活の質を大きく低下させるため、早期の治療が重要とされています。

従来、2型糖尿病のリスク因子としては、肥満、運動不足、喫煙、飲酒、遺伝的背景などが知られてきました。

しかし、ここに「職場でのストレス」や「社会的環境」といった心理社会的因子が関与している可能性があるとして、近年注目を集めています。

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糖尿病を発症する人の特徴とは? / Credit:Canva

今回の研究では、「人と接する仕事」が持つ独特のストレスが、糖尿病リスクにどう影響するかを検証しました。

このタイプの仕事には、医療、教育、福祉、接客業、運輸業などが含まれます。

患者や顧客、利用者、学生との継続的なコミュニケーションが必要であり、感情のコントロール、衝突への対応が求められるストレスのかかる職業です。