折り紙構造は、平らな面に折り線を入れることで、変形を限定された方向に導く技術であり、硬い電子素子を載せやすいという利点があります。
しかし同時に、多数のユニットを一括して折り畳むことは難しいという課題を抱えています。
一方、切り紙構造は、構造全体を引っ張ることで簡単に変形させることができますが、電子素子を載せるのに適した平らな面が少ないという欠点を抱えていました。

そこで今回、早稲田大学の研究チームは、これら2つの構造を融合し、互いの長所を生かして短所を補う新しい構造「キリオリガミ構造」を考案しました。
この構造は、切り紙構造に折り線を加えることで、電子部品の取り付けに適した平面を確保しつつ、引張変形によって多数の折り線を一括で折り上げることを可能にしています。
つまり、「硬くて壊れやすい電子素子を安全に載せられ、なおかつ柔軟に変形できる」という夢のような構造が実現されたのです。
次項では実際にオリキリガミ構造が動作する様子を見てみましょう。
新しい「オリキリガミ構造」により伸びる電子回路を実現

このキリオリガミ構造を正確に動作させるため、研究チームは2つの技術的な工夫を施しました。
1つ目は「バッファ構造の導入」です。
これは構造の端に「ばね」のように変形する部分を加えることで、引っ張る力を均等に伝えるという仕組みです。
これにより、構造端部で発生しやすいひずみやねじれを抑え、面全体に均一な力を伝えることで、安定した折り畳みが可能になりました。
2つ目は「二軸引張の制御」です。
縦と横の両方向にバランスよく引っ張ることで、折り線以外の部分に無理な力がかからず、意図したとおりに正確に変形が進むようになります。