つまりAIは、常に一定レベルの面白さをキープすることはできても、予測不可能で爆笑を誘うような斬新な発想を生み出すことは苦手なのです。

一方、人間は自分の感情や経験、文化的背景を豊かに持っているため、型にはまらないユニークな発想を生み出せる強みがあります。

実際、人間が単独で作ったミームの中には、多くの人が爆笑して高く評価するような、AIには到底思いつかない意外性やオリジナリティのある作品がありました。

このように、人間は深い共感を生む面白さや予想外のアイデアを生み出すのが得意であることが、今回の研究でもはっきりと確認されました。

では、AIと人間の強みを組み合わせたら、もっと素晴らしいミームができるのでしょうか?

研究の結果から見ると、その答えは「半分イエス」と言えるでしょう。

人間とAIが協力して作ったミームは「面白さ」部門こそ逃したものの「創造性」部門と「シェアしたくなる魅力」の2部門のトップをとりました。

これは「アイデアを出す」AIの力と、「最適なアイデアを選び磨き上げる」人間の力が上手に融合した成果であり、上手く利用すれば特定の目的を達成できる可能性を感じさせます。

しかし、今回の実験では、人間がAIと上手に協力できないケースも見られました。

多くの参加者がAIのアシスタントを一度しか使わず、十分にアイデアを引き出せなかったという問題がありました。

せっかくAIが優れたアイデアを数多く提供しても、人間がそれをうまく活用しないと、その可能性を十分に発揮できないということです。

これから先、AIと人間の協力をもっと効果的にするためには、人間がAIを活用しやすい環境を整えたり、AIと何度もやり取りを重ねることを促すような仕組みが必要になるでしょう。

今回の研究は、AIを単なる道具として見るのではなく、「創作パートナー」として考える新しい方法を示したと言えます。

AIは豊富なアイデアを瞬時に出す「発想のブースター」であり、人間はそのアイデアの中から本当に面白いものを見つけ、最終的に心に響く形に仕上げる役割を担います。