日本企業の最新データを分析した興味深い研究で、「取締役会に女性が増えるほど企業の利益率が下がる」という、直感的には予想外の結果が報告されました。

この研究は、日本の上場企業1990社を対象に18年間にわたりデータを精査したもので、具体的には取締役会における女性の割合が標準偏差(約7.8%ポイント)ぶん増えると、会社の利益率(ROA)が0.1ポイントほど低下する傾向が統計的にはっきりと示されました。

影響としては一見小さな変化ですが、分析の精度から見ても偶然とは考えにくい有意な結果です。

これは女性の活躍推進が強調される日本社会にとって意外な結果であり、「単に女性取締役を増やすだけでは会社は良くならない」という重要な教訓を私たちに投げかけています。

多様性の推進が企業の成長に必ずしも直結しないという事実は、社会や経営者が改めて受け止めるべき新たな課題なのかもしれません。

しかしなぜ日本では女性取締役の増加が、会社の利益率に負の影響となってしまったのでしょうか?

研究内容の詳細は『Journal of Risk and Financial Management』にて発表されました。

目次

  • 「女性取締役は企業を強くする」は本当か?世界と日本のズレ
  • データが示す衝撃―日本企業では女性取締役が増えるほど利益率が下がる
  • 日本企業が『女性活躍の効果』を得るために必要なこと

「女性取締役は企業を強くする」は本当か?世界と日本のズレ

「女性取締役は企業を強くする」は本当か?世界と日本のズレ
「女性取締役は企業を強くする」は本当か?世界と日本のズレ / Credit:Canva

最近、テレビや新聞、インターネットでも「女性活躍」や「ジェンダー多様性」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。

企業や政府は、男女の多様性を積極的に進めることが企業の競争力を高める鍵になると強調しています。

実際、世界的に見ると、企業の役員に占める女性の割合は2015年には15.1%だったのが、2021年には24.0%まで増えました。