発泡スチロール製のカップに、①製品パッケージの機能、②調理器具、③食器、という3つの機能を持たせたおかげで、お湯さえ用意すれば、どこでもいつでも食べられるイノベーションが生まれました。

お金はイノベーションの必須条件ではないのです。

このように、私たちのイノベーションの理解は、意外と間違っています。

イノベーションは、異質な既存のモノが組み合わさって生まれるものです。

『回転寿司』は、『寿司屋』と『ベルトコンベア』の組合せ 『ウォークマン』は、『超小型カセット再生機』と『高性能ヘッドホン』(補足すると、ソニーならではの小型化電子機械技術を活用) 『カップヌードル』は、『日清チキンラーメン』と『日本と異質な米国の食習慣(カップとフォーク)』 『トヨタ生産方式』は、『クルマの生産方式』と『米国スーパーマーケットの在庫補充システムの仕組み』

…です。

お客様のお困りごとを把握して、既にあるモノを組み合わせることで、イノベーションのきっかけになるのです。

ただ残念ながら、こうした商品を出すだけでは、イノベーションは起きません。

セグウェイは、かつて登場前にビル・ゲイツやジョブズが大絶賛した、革新的な立ち乗りできる製品でした。しかし大失敗しました。価格は100万円で時速19Km、しかも乗り場所も限定されるので、自転車で十分だったのです。

成功するイノベーションで必要なことは「お客様が行動を変容するような環境も整えていくこと」です。

普及が広がっているLUUPは、セグウェイと違って、シェアサービスで安く使えるようにし、交通法改正にあわせて利用ルールも明確にし、安全性を高めています。

お客様の困りごとを把握し、解決策を考え、お客様がスムーズに使えるように提供することで、イノベーションは起こるのです。

編集部より:この記事はマーケティング戦略コンサルタントの永井孝尚氏のオフィシャルサイト(2025年6月24日のエントリー)より転載させていただきました。永井孝尚氏のメルマガのご登録はこちらから。