4. 暴かれたトリックと科学的検証
当初はコナン・ドイルなどの著名人からも支持を受けたエヴァでしたが、懐疑的な研究者による調査が進むにつれ、そのトリックは次々と暴かれていきました。
** 噛んだ紙と雑誌の切り抜き ** :1920年、ロンドンの心霊研究協会(SPR)は、エヴァのエクトプラズムが噛んだ紙や布であることを突き止めました。さらに、物質化されたとされる霊の顔は、フランスの雑誌『Le Miroir』から切り抜かれた写真であることが判明しました。写真には、当時のアメリカ大統領ウッドロウ・ウィルソンやフランス大統領レイモン・ポアンカレの顔も使われており、写真の折り目や、裏面に印刷された「Le Miroir」の文字が決定的な証拠となりました。
** 巧妙な隠蔽工作 ** :エヴァはこれらの切り抜きに偽の髭をつけたり、髪型を変えたりして偽装していましたが、元写真の特徴的な線を消しきることはできませんでした。降霊会が常に薄暗い照明の下で行われ、参加者が霊媒に触れることが厳しく禁じられていたのは、こうしたトリックを隠蔽するためだったのです。

(画像=フランスの雑誌「Le Miroir」から作られた偽のエクトプラズム By Albert von Schrenck-Notzing, *Phenomena of Materialisation* (1920), Public DomainSource)
さらに後年、シュレンク=ノッツィングと共に研究を行ったギュスターヴ・ジェリー博士の未公開ファイルから、エクトプラズムが針金でエヴァの髪に固定されていたことを示す写真が発見されました。ジェリーやリシェ、シュレンク=ノッツィングといった主要な研究者たちは、これらの不正の証拠を知りながらも、心霊現象の存在を信じるあまり、スキャンダルを公にせず隠蔽していたことも明らかになっています。