大吉の研修は全てのカリキュラムを実店舗で実施
その店主たちは、半数以上が飲食業を未経験で加盟している。3カ月の研修を経て開業するのだが、未経験者を3カ月の研修だけで店主に据えることに、拙速のきらいはないのか。近藤氏は「3カ月という研修期間は長いほうだと思う。飲食店FCには研修期間が2週間という本部もある」と否定する。改めて調べたところ、確かに3カ月は長いほうである。
大吉の研修は全てのカリキュラムを実店舗で、1カ月ごとに違う店舗で店主の指導のもとに進める。1カ月目は、仕込み、衛生管理、マナー、心得。2カ月目は、焼きと仕込みの技術、ホスピタリティー。3カ月目は、店舗オペレーション全体、営業許可申請・備品発注、スタッフ募集。そのうえで開業する店舗でテストランを経てオープンする。
現下のテーマは加盟者の獲得だ。その予備軍として有力な母体がエターナルホスピタリティグループのグループ企業・鳥貴族で、24年から、鳥貴族の社員を対象に独立制度として大吉加盟の説明会を開いている。この取り組みと同時に地方自治体との連携も検討中だ。地域活性化の手段に大吉を開業するプランを自治体と協議している最中だが、「人口の少ない鳥取県で大吉が10店舗盛業しているので、地方でも成り立つ店として自治体関係者も関心を示している」(近藤氏)という。
飲食店はコミュニティの拠点としても機能するが、懸念されるのは持続性だろう。例えばブームの火が付くような業態では持続性に欠けやすい。その点、焼鳥店は流行り廃りの少ない業態というのがダイキチシステムの見解である。
「ダイキチシステムの創業者は、お好み焼き、寿司、スナックなどいろいろな業態を運営したが、流行り廃りがなく、鶏肉と玉子は物価の優等生で原価が安く、素人でも一人前に育成できるという理由で、焼鳥一本に絞った。今でも市場の上下がそれほどないので、焼鳥以外を手がける考えはない」(近藤氏)
大吉が地方に開店すれば住民の楽しみがひとつ増えて、高齢化と人口減少で陰りが広がる街に、温もりをもたらす契機になるかもしれない。地方創生の一端を担う道筋も見えてこよう。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)