今回の都議選と参議院選挙。選挙のあり方は少しずつ変わってきていると思います。まず組織票がどこまで意識されるか、であります。一般に言う組織票、つまり個人の思想や信条にかかわりなくある理由によりある政党や候補者を推す人は非常に大雑把に約2割いるとされます。この人たちは確信的にその政党や候補者に投票しますし、多くがあまり裏切らないとされます。また選挙戦の最中、誰が何を言おうが、途中でどんなニュースが出ようとも「上からそういう風に言われているので…」という律義さを示します。

野田代表・斎藤代表・玉木代表・石破首相 各党・首相官邸HPより
一般に言う投票率が低めで終始した場合、組織票を牛耳る政党や候補者が有利になりやすいのはちょっと考えればお分かりになるかと思います。そしてある調査によると投票率が30%の場合組織票が占める割合は63%にもなり、投票率が50%なら38%となるとされます。確かに計算上ではそうなるのかもしれません。よってこの組織票のしがらみから解放される為には投票率をあげるか組織票解体を進めるしかないのであります。
近年、SNSが様々な形で選挙に介在し始めているのですが、個人的にはこれも一種の組織票ではないかと考えています。つまりSNSという手段を通じた党首や政党のある断面を捉えたシュプレッヒコールではないかと思うのです。これは心理的にその気にさせる効果があるのです。例えばコンサートに行き、圧倒的雰囲気で観客が大興奮していれば自分も未経験のその世界に入り込むでしょう。一種の催眠術のようなもので魔法にかかっているようなものなのです。
小泉元総理が行ったイシューを一点に絞り込む解散総選挙はわかりやすいというよりほかの99のイシューに触れずにそこだけを捉えるので白黒がはっきり出やすいとも言えるのです。元祖SNS型選挙戦略とも言えます。だけど世の中そのイシューだけではなく、我々は常に100のイシューの中で生きており、それがいま優先課題かどうかという順番の問題だけなのであります。小泉氏は郵政民営化というイシューを意図的に順番でトップに持ってくることで勝ち抜いたとも言えるのです。これは組織票ではないけれど日本全部を組織化したようなもので好き嫌いは別としてある意味優れた戦略だと私は思うのです。