それでも猫の数はたくさんいて、そばを通るたび「エサ、ないの?」という目で見つめてきます。

こんな子猫なんかも。逞しく生きるんだぞ。
廃墟ばかりと言ってきましたが、このように団地の脇に車が止まっています。
数は少ないですが状態のいい団地は残されていて、まだ一部の方がここに住み続けています。
91人の方の生活を守るため、簡易郵便局は今も現役。

自販機の商品ラインアップがちょっと寂しい。
また、島で唯一の宿泊所、池島中央会館も営業を続けています。

レストランモナーク跡。

ボウリング場まであったようです。
郵便局や宿泊所のある通りはかつての池島の目抜き通りでした。通りには商店街があったのですが、そのすべてが今は営業を終了していて廃墟と化しています。
団地から港に向けて丘を下っていきます。団地にいるときは海が見えなかったのですが、ここでようやく美しい角力(すもう)灘の景色を見ることができ、ここが島だったことを思いださせてくれます。
団地から港に向かって下りていくにつれ、炭鉱跡が視界に入るようになります。池島に住む人たちの生活のすべてだった鉱山。エネルギー革命の荒波に抗うことができずに打ち棄てられるに至ったその姿を見るにつけ切ない気持ちになります。鉱山で働いていた人たちの無念ぶりはいかほどだったでしょうか。
旧鉱山の施設の前にはヤギがいました。ヤギは鬱蒼と茂った草を食べてくれるのでなかなか重宝しているようです。

笑顔でまた来いよ、と言ってくれる。
かつて人口7000人を擁し、多くの鉱夫が働いていた池島。今は人口91人となりその華やかだった時代を知る人は少なくなりましたが、それでも無人化せず今もこの島で懸命に生きようとする人たちがいます。エネルギー革命に翻弄された池島の姿を見に来てもらいたいものだと感じながら、島を離れました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年6月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。