軟骨の染色は、アルシアンブルーを用いて行います。酸性の溶液に浸すため、染色終了後は中和する必要があります。その後、タンパク質を分解する酵素を用いて、筋肉などの組織を透明化する準備を行います。
次に、硬骨を染色します。アリザリンレッドを用いて硬骨を赤紫に染色します。そして必要に応じて透明化を高める作業を行います。グリセリンを用いて浸漬させると、透明になります。
個体により作業時間は変わる
個体の大きさや骨の量や質によってかかる時間が変わってきます。
作業工程が多いので少し根気が必要ですが、魚が透明になって骨が染まっていく様子が順を追って目に見えるので、やりがいや達成感が得られるのではないでしょうか。
瓶に入った透明骨格標本は、アートのようにも感じられます。
透明骨格標本のキットも販売されているので、小学生の夏休みの自由研究に良いかもしれません。
干物やちりめんじゃこからも作れる?
魚の透明骨格標本ですが、実は干物やちりめんじゃこからも作れます。
透明骨格標本は、鮮魚や固定された個体から作製されたものが多くを占めている中、このような研究はとても興味深いものです。

干物の透明骨格標本を作るには、まず塩抜きをするために水に戻します(小西雅樹,朝井俊亘,武内啓明,細谷和海.2010.干物を利用した魚類透明骨格標本の作製.近畿大学農学部紀要,43号,P105-110)。
この水戻しや 高濃度のホルマリンに浸すことで 、表皮や筋肉を維持した状態で透明化することができたようです。
ちりめんじゃこの透明骨格標本を作るには、塩分が透明化を妨げるためにホルマリン溶液を何度か交換し、脱塩と固定を同時に行います(朝井俊亘,細谷和海.2012.ちりめんじゃこを用いた透明骨格標本の作製.近畿大学農学部紀要,45号,P135-142)。
ちりめんじゃこは難しい?
研究によると、ちりめんじゃこは一度茹でてから 天日干しするため 、個体の損傷が激しくて骨が破損しているものも多く 透明化は難しかったようです。