その一言が、店員にとって「ただの仕事」を「人との接触」に変えるのです。

あなたにとっての「ただの購買行動」も、やはり「人との接触」に変化することでしょう。

また、トロップ氏は、このような寛容さは“習慣”として鍛えることができると強調しています。

最初は意識しないと難しいかもしれませんが、少しずつ実践を重ねることで、自分の注意を周囲へと広げる感覚が自然になっていきます。

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一瞬のアイコンタクト。貴重な注意力をいくらか注ぐ価値はある / Credit:Canva

皮肉なことに、私たちはSNSで“いいね”を押す相手の顔も知らず、誰にも会わずに「つながっている気分」を味わう時代に生きています。

でも、リアルなアイコンタクトの0.5秒の方が、画面越しの100文字よりもずっと多くの情報と感情を伝えてくれるはずです。

この習慣は、最終的には自分自身にも恩恵をもたらします。

他者と関わることで、自分の存在も他者にとって意味のあるものとなり、幸福感や社会的つながりの感覚が高まるのです。

私たちの注意力は限られています。

だからこそ、その使い道を少しだけ変えてみるのはどうでしょうか。

スマホを鞄に入れたり、イヤホンの音量を落としたりして、誰かと目を合わせてみましょう。

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参考文献

Making eye contact and small talk with strangers is more than just being polite − the social benefits of psychological generosity
https://theconversation.com/making-eye-contact-and-small-talk-with-strangers-is-more-than-just-being-polite-the-social-benefits-of-psychological-generosity-252477