私の思う相場の奥義とは人間心理とAI的行動規範をどう読むか、だと考えています。その昔、野村證券の会長だった田淵節也氏と幕間つなぎの話し相手で差し飲みした際に田淵氏が「今の相場はコンピューターがやるからよくわからん」と申されたのが1989年頃、つまりバブルのピークの時だったと記憶しています。その言葉は私の相場観を大きく変えたのです。コンピューターに勝てる方法はないのか、と。その後、時折起きる株式相場のフラッシュクラッシュはまさにコンピュータープログラムが混乱をきたすことで起きるトラブルであり、それを支えるのは結局手作業で「下げ過ぎ!チャンス」と思う人間が相場を下支えするからこそ回復するのです。つまりコンピューターが絶対ではないとも言えます。
相場に絶対はありません。どんなプロ相場師でも勝率は6割とか7割でしょう。野球で打率が3割というのと同じです。10割なんていうのはないのです。気をつけるべきはボトムがどこにあるか、です。そして自分で始末に負えないほどの火傷を負わないようにすることこそ、奥義の本質とも言えるでしょう。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年6月20日の記事より転載させていただきました。