そこで今回の研究では、ウシガエルの影響を評価するために、4つの調査地点が選ばれました。

2つはウシガエルが存在する池、残りの2つは存在しない池です。

そして2016年から2022年までの間、研究チームは罠や網、ライトトラップ、手捕りなどを駆使して、2つの池から合計1万6384匹のウシガエルを捕獲・駆除しました。

さらに、ブチイシガメについても継続的にモニタリングを実施。

甲羅の長さや体重、年齢、捕獲数、出現密度などを丹念に記録し続けました。

では、このような徹底的な駆除と調査の結果、どんなことが分かったのでしょうか。

1万6000匹のウシガエルを駆除した結果、在来種の子ガメを確認

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ウシガエルが生息する池では子カメがいないと判明 / Credit:UC Davis

調査の中で、ウシガエルが残っていた池に生息するブチイシガメは、すべて年老いた大型個体だけでした。

つまり、子ガメが育っていないのです。

これは、ウシガエルの捕食によって若い個体が淘汰されていたことを意味しています。

一方、ウシガエルのいない池では、ブチイシガメの約35%が子ガメや若年個体でした。

個体数もウシガエルのいる場所より2倍〜100倍も多く、ブチイシガメの個体数の減少は、やはりウシガエルの存在が原因だと推測できます。

そして決定的な変化が訪れたのが、2019年以降です。

この年までにウシガエルの駆除がほぼ完了したことで、ウシガエルがいた池でも初めて子ガメの自然出現が確認されました。

つまり、駆除からわずか3年で在来カメが復活したのです。

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ウシガエルの徹底駆除により、ブチイシガメが復活 / Credit:UC Davis

ブチイシガメは成長が遅く、産卵数も少なく、しかも寿命が長いため、個体群が一度崩れると回復には非常に時間がかかることで知られています。

それだけに、この「子ガメの復活」は、地道な駆除と保護の努力が報われた瞬間と言えるでしょう。