そしてこの星空ナビゲーションには、さらなる高度な補正能力も備わっています。
地球が自転しているため、星空は一晩のあいだに少しずつ回転します。
ボゴン・モスはこの「天体の回転」さえも補正しながら、長時間、直進を維持していると考えられています。
つまり、星空という巨大な羅針盤を、動的に読み解きながら飛んでいるということなのです。
また重要な点として、雲によって星空が見えなくなった場合は、地球磁場を利用してナビゲーションの正確性を保っていたことも示されました。
この発見は、昆虫の驚異の移動能力を明らかにするだけでなく、夜間ナビゲーションを必要とするドローン技術やロボットのセンサー開発にも応用が期待されています。
全ての画像を見る
参考文献
Stargazing flight: how Bogong moths use the night sky to navigate hundreds of kilometres
https://www.unisa.edu.au/media-centre/Releases/2025/stargazing-flight-how-bogong-moths-use--the-night-sky-to-navigate-hundreds-of-kilometres/
Tiny Moth Seen Navigating by The Stars in Scientific First
https://www.sciencealert.com/tiny-moth-seen-navigating-by-the-stars-in-scientific-first
元論文
Bogong moths use a stellar compass for long-distance navigation at night
https://doi.org/10.1038/s41586-025-09135-3
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。