ドローンや高高度飛行機に送電中継装置を搭載し、大気中の厚い層の影響を軽減しながらレーザーをリレー形式で送ることで、より効率的かつ障害物のない電力伝送を実現する計画です。
この構想が現実化すれば、最終的には125マイル(200km)先に10kWのエネルギーを送信できるシステムが確立される見込みです。
DARPAのPOWERプログラムマネージャーであるポール・ジャフェ氏は、「今回のデモンストレーションは、電力ビーム技術の限界に関する誤解を打ち破ったものである」と語っています。
この技術が今後、軍事的な枠組みを超えて、災害時の緊急電源供給や遠隔地へのインフラ整備、さらには無人航空機(UAV)や地上センサーへの給電など、さまざまな民間分野にも応用されていくことが期待されます。
たとえば、地震で孤立した山間部に対してドローン経由で医療用発電機を稼働させるといった利用も想定されます。
人類が長らく電線に縛られてきた歴史を終わらせる可能性を秘めた、DARPAのレーザー電力伝送技術。
この先にあるのは、コードの絡まない、自由で柔軟なエネルギー社会かもしれません。
そして願わくば、この技術が戦争ではなく、平和で便利な世界のために使われて欲しいものです。
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参考文献
DARPA sets new records for sending power wirelessly
https://newatlas.com/military/darpa-sets-new-records-sending-power-without-wires/
DARPA program sets distance record for power beaming
https://www.darpa.mil/news/2025/darpa-program-distance-record-power-beaming
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。