これ自体は傾向として正しいが、すべてとは言えない。たとえば自分の場合はまったくの逆で「新しい仕事を始めて専門家になるなら今すぐでなければならない。これ以上年を取ればチャンスが狭まる」と考えて、全身全霊で勉強や、新しい仕事に打ち込んでいる。

「若い頃はやる気がある」という意見も世の中には支配的だが、筆者はかなり疑わしいと思っている。これまで多くの日本の大学生、新卒とも会話をしてきたが、「仕事なんてできればしたくない。一生学生のまま遊びたい」といってサボることばかり考えていたり、上司がいない間にこっそり帰ってしまったりする姿は何度も目撃している。

結局、「年齢差より個体差」だと思うのだ。

実は研究でも、ビジネスマンのピーク年齢が40代後半から50代前半であることが裏付けられている。”Age and High-Growth Entrepreneurship” by Azoulay et al.(2015年)では、成功した起業家の平均年齢が45歳であることが示され、また別の調査では、ビジネスマンのパフォーマンスが50代前半でピークに達すると結論付けられている研究結果も出ている。

ビジネスマンとしてのピーク年齢は、一般的には40代後半から50代前半だろう。この時期は、経験とスキルが豊富に蓄積され、結晶性知能が高く、身体的健康が維持され、モチベーションと経済的安定がバランスよく整うタイミングなのだ。

40代で人生を諦めるのはあまりにも早すぎる。昔の40代より今の40代は見た目だけでなく、体も若い。人生100年時代ではまだ折り返し地点ですらない。まだまだこれからである。

 

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