「ニトリ・IKEAに並ぶ」CAGUUUの野望

 CAGUUUの野望は、個人消費者向け市場(BtoC)にとどまらない。彼らの描く未来は、日本の家具市場全体、さらにはグローバル市場の再編にまで及ぶ。

「将来的に、世の中の家具ニーズはニトリとIKEA、そして我々CAGUUUだけで十分になると考えています。個人向けのニーズは全てカバーできる。さらに、日本中のデザイナーやプロ向けにもサービスを普及させ、BtoB市場も全面的に開拓したい」

 特に注目すべきは、彼らがBtoB領域への挑戦だ。大手デベロッパーの新築マンションモデルルームにお手頃な価格でおしゃれで高品質な家具を提供し、購入者がそのモデルルームと同じ家具を一括購入できるようにするサービスは、不動産業界における家具調達の常識を覆すものだ。たとえば、従来おしゃれな高級家具だと500万円かかっていたコーディネートが、CAGUUUと組めば80万円に収まる可能性があり、BtoB市場における価格破壊と効率化を同時に実現する、圧倒的な競争優位性を示す。これは、パートナー企業への「負担ゼロ」に近い価値提供といえるだろう。

 このアプローチは、新築だけでなく中古マンションのリフォーム市場にも適用可能だ。リフォームと家具の一括提案により、消費者は手間なく理想の住空間を実現できる。また、ホテル、レストラン、オフィスといった法人向け領域への展開も視野に入れる。これらのBtoB市場では、複雑な中間業者を排したD2Cモデルにより、コストパフォーマンスの高い家具を直接提供できる。これは、特に初期投資を抑えたいスタートアップ企業や、デザイン性とコスト効率を両立させたい中小企業にとって、非常に魅力的な選択肢となるだろう。

 またCAGUUUは3Dプランニングサービスを提供しており、プロのインテリアコーディネーターが、お客の要望に基づき3Dシミュレーションで理想の空間を提案する。家具の配置イメージを具体的に再現し、インテリア選びをサポートできるのが特長だ。自宅から無料で相談可能なMyCoordiも今後建築デザイナーやインテリアデザイナーへ提供開始する予定。

 中村氏は、さらに幅広いスタイリングを自社でカバーできると自信を見せる。

「ほとんどのスタイルを我々でカバーできる。これは既存の家具メーカーにはない強みです。我々は、家具を『機能性』だけでなく、『デザイン性』『コスト』の三軸でバランス良く提供できる、唯一無二の存在になれると信じています」

 この「全方位戦略」は、CAGUUUが単なるD2Cブランドに留まらず、家具市場全体のインフラとなることを目指していることを示唆している。ニトリやIKEAがカバーする大衆市場、そして高価格帯のデザイナーズ市場、さらには法人市場まで、あらゆるセグメントにCAGUUUの波が押し寄せ、既存のプレイヤーを“駆逐しかねない”ほどの潜在力を秘めているのだ。これは、CAGUUUも家具市場全体を包括的に変革しようとしているといえる。