ODMを極限まで活用:「格破壊力とDX革命」

 CAGUUUが、この巨大な市場の空白を埋めるために採用した戦略は、中国発のグローバルアパレルD2C「SHEIN」のビジネスモデルから着想を得たものだ。核となるのは、ODMの徹底活用と、それを支えるD2Cモデルである。

「私たちは、中国の優れた製造パートナーと直接連携することで、中間業者を排除し、高品質な家具を驚くほどの低価格で提供することを可能にしました。例えば、他社では数十万円で販売されているようなデザイン性の高いソファが、私たちはニトリやIKEAなどの大手家具メーカーと大きく変わらない価格帯で提供できます。これは、アパレルD2Cで成功した方程式を家具業界に持ち込んだもので、その破壊力は計り知れません」

 中村氏はそのビジネスモデルの核心を語るが、通常、家具が消費者の手に届くまでの道のりは長い。企画、デザイン、製造、輸入、卸売、小売と多くのプロセスと中間業者が介在し、それぞれの段階で手数料が上乗せされる。これが最終的な価格を押し上げる要因となる。しかし、CAGUUUは自社で企画・デザインした商品を、選定した中国の協力工場に直接発注。製造された商品はそのまま消費者に届けられる。この徹底した垂直統合とサプライチェーンの最適化こそが、「高品質・低価格」を両立させる秘訣なのだ。

 さらに、このモデルは、市場のトレンドや消費者のニーズに迅速に対応できるという強みも持つ。通常、家具の企画・製造には長いリードタイムを要するが、ODM工場との密接な連携により、デザインの変更や新商品の投入サイクルを短縮できる。これにより、常に最新のトレンドを反映したデザイン性の高い家具を、タイムリーかつ手頃な価格で提供することが可能になる。“家具業界の革命児”という表現は、まさにこの「品質」「デザイン」「価格」の三位一体を指し示しているといえるだろう。これは、まさに物流テック企業がサプライチェーンの非効率を解消しようと挑むのと同様の、デジタル技術を駆使したサプライチェーン改革の一環ともいえる。

 このビジネスモデルは、従来の家具業界の常識を覆す。既存の家具メーカーが抱える、複雑なサプライチェーン、大量の在庫リスク、そして高コスト体質といった課題を、CAGUUUは根本から解消する。これにより、消費者はこれまで高嶺の花だったデザイン性の高い家具を、より気軽に、そして迅速に手に入れられるようになる。これは、単なる価格競争ではなく、家具の「買い方」そのものを変える、破壊的なイノベーションなのだ。