このプロジェクトには、169カ国から1万7598人が参加しました。
各参加者は7日間、毎日1回、5〜10分程度の「マイクロ・アクト」を実施しました。
マイクロ・アクトの具体的なの内容は、「誰かの喜びを一緒に祝う」、「感謝リストを作る」、「小さな親切を計画・実行する」、「自分の価値観を見つめ直す」、「困難な体験から得たポジティブな側面を見つける」、「自然の動画を見て畏敬の念を味わう」、「世界に善をもたらす自分をイメージする」というものです。
参加者は、行動の前後で気分を記録し、7日後には自分の感情変化や効果の高かった行動のフィードバックを得ることができました。
たった数分の行動で幸福感が高まると判明

結果は非常に有望なものでした。
7日間の介入の後、参加者の心理的・身体的指標には次のような有意な変化が見られました。
ウェルビーイング(生活満足感、人生の意味など)、ポジティブ感情(希望、楽しさ、驚きなど)は、幸福感への自己効力感(自分で幸せを作り出せる感覚)がそれぞれ向上したのです。
また主観的なストレスも低下したと報告されました。
さらに、自己評価による健康状態と睡眠の質も、わずかながら有意に向上しています。
また、より積極的にマイクロ・アクトを行った人ほど改善幅が大きかったとも報告されています。
人はわずか1日僅か数分の小さな活動でも、自分の幸福感を大きく変化させられるのです。

加えて、このマイクロ・アクトの効果は、社会的に不利な立場にある人ほど、大きな効果を及ぼすことが分かりました。
教育水準が低い人、経済的に困窮している人、人種的・民族的マイノリティの参加者は、その他の層と比べて顕著な幸福感の向上を報告したのです。
研究者はこれを「ベースラインの幸福度が低いほど、改善余地が大きくなる」という心理学的傾向と説明しています。