機能面の充実が幅広いユーザーを獲得

 セブン銀行は小売業をルーツとしており、「近くて便利」という価値を重視している。24時間365日利用可能で、日常の買い物のついでに気軽に立ち寄れる利便性は、他行のATMにない大きな強みとなり、利用者数の増加につながっている。

 さらに、ATMの機能性を徹底的に追求することで、利用者数の拡大を実現している。2020年にはATMでのマイナポイント申し込みサービスを導入した。また、他のコンビニATMが主に日本語と英語を中心とした対応であるのに対し、12言語に対応している点(海外発行カードの利用時など特定の取引時)も特徴的だ。さらに、現金の入出金にとどまらず、あらゆる手続き・認証をATMで行う「+Connect(プラスコネクト)」サービスも2023年9月より展開している。中には利用者がATMで取引きを行う際に、各提携機関がお知らせしたい情報をATM画面に表示し、回答を収集する「ATMお知らせ」と、これまで対面で行う必要のあった各種手続きを、原則24時間365 日行うことができる「ATM窓口」がある。また、2025年2月からは顔認証取引サービス「FACE CASH」も導入し、セブン銀行と静岡銀行でサービスを開始している。顔情報を登録すればキャッシュカードなしでの入出金が可能となっている。今後も順次採用先を拡大してゆく。

 キャッシュレス化の進展に応じたサービスも展開している。PayPay、au PAY、d払い、メルペイ、楽天キャッシュなどのスマホ決済サービスや、Suica、楽天Edy、nanacoなどの電子マネーへのチャージが、銀行口座不要かつ手数料無料で利用可能だ。

「弊社はATMの利便性を追求しており、新しいお客様のニーズを開拓するための開発に積極的に投資するようにしています。他社の真似ではなく、『こういうものがあったらいいな』という発想で開発し、それをマーケットに展開することで、お客様から『こういうサービスが欲しかったんです』という声をいただくことを目指しています。

 現在、セブン銀行ATMでは『ATM窓口』と『ATMお知らせ』というサービスを提供中です。ATM窓口では、ATMで直接口座開設の申し込みができ、ATMお知らせでは、ATM利用時に画面で各種案内を表示します。

 お客様の入力の手間を削減するため、身分証明書の読み取りによりデータを自動取得するなど、さまざまな工夫を取り入れてサービスを展開しています」

 近年は金利上昇により、新規口座開設のニーズが高まってきたが、各社には当社ATMを、新たな窓口としてご活用いただき、窓口業務の効率化にご活用いただいている。口座開設や住所・電話番号の変更受付などのサービスを提供することで、社会インフラとしてより重要な存在となっている。今後の戦略について大川原さんは語る。