結局、ため息をつきながらリモコンを置くことの方が多いのではないでしょうか。

これまでの調査で、2008年から2020年にかけて、若者の間で退屈レベルが増加していることが示唆されています。

無料ゲームや無料動画など、いつでも自由に楽しめるデジタルコンテンツの数は時間とともにどんどん増えているのに、それと逆行するように人々の退屈さが増しているというのはどういうことなのでしょうか?

この疑問に答えるため、タム氏ら研究チームは、次々とチャンネルを変える行為と退屈の関連性を調査することにしました。

チャンネルを次々に切り替える行為は退屈レベルを高める

タム氏ら研究チームは、複数の実験を行いました。

最初の実験では、140人の参加者が面白い動画と退屈な動画の両方を見せられ、それらを自由に切り替えました。

その結果、参加者は退屈だと感じた時に、動画をより頻繁に切り替えると分かりました。

これは、人々が退屈を紛らわせるために、動画をスキップしたり切り換えたりすることを明らかにしています。

多くの人が、この目的と行為に共感することでしょう。

しかし、今回の研究では、この行為が期待とはまったく逆効果であると示されたのです。

退屈しのぎにチャンネルを切り替える行為は、私たちを一層退屈にさせる
退屈しのぎにチャンネルを切り替える行為は、私たちを一層退屈にさせる / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

チームは次に、159人の参加者を使い、「切り換えあり」条件と「切り換えなし」条件の2つで、動画コンテンツを楽しんでもらう実験を行いました。

すると、退屈なら動画を切り替えて良いとした参加者の間で、より高いレベルの退屈が報告されたのです。

また1つの動画だけを視聴する実験(シークバーで「スキップできる条件」と「スキップできない条件」に分かれる)でも、スキップする方が退屈レベルが増すという結果になりました。

私たちは退屈を紛らわせる目的で動画を次々と再生したり、スキップしたりしますが、この行為が、私たちを一層退屈にさせていたのです。