10年前には「労使折半なんて嘘だから。全部サラリーマン本人の負担だから」といってもほとんどの人は「??」みたいなリアクションでしたけど、今は「会社負担分も合わせれば我々の実質的な社会保険料負担は30%だ」と言っている人は普通にいますから。

そうそう、つい先日衆院で可決された年金改革法案(例のサラリーマンの積み立てている厚生年金保険料を流用して基礎年金全体の底上げをするやつ)に対し、激怒したサラリーマンが(連合の支援を受ける身でありながら法案支持にまわった)立憲民主党に抗議の電話をかけまくっているとのこと。

参照:「電話が鳴りっぱなし」年金法案で立民に非難の嵐 「厚生年金の流用」イメージ払拭に躍起 産経新聞

たぶん議員も年金官僚もビックリしているんじゃないでしょうか。これまで負担をおしつけ放題だった「物言わぬサラリーマン」が急に怒りの声を上げ始めたわけで。

従来は気付かなかった負担が可視化されることで、

→今までは前向きに働いていた層にも「今の仕事は割に合わない」と感じる割合が拡大する

→「どうせこれ以上頑張ったって天引きされる金額が増えるだけだろう。だったら最低限のことだけやってやり過ごそう」と考える層が拡大する

というのが、静かな退職のトレンドが加速している理由だというのが筆者の見立てです。

そう考えると、転職が最初から選択肢に入っていないことも説明がつきますね。転職したって日本で正社員として働く以上、天引きから逃げられるわけではないですから。

要するに「日本という国でマトモに働くことがバカらしくなった人達が増えている」というのが、静かな退職問題の本質だと言えるでしょう。