さらに興味深いのは、男性の顔であってもフェミニンな特徴を持つ場合、魅力度が高く評価される傾向があったことです。

つまり、美的評価は単なる性的指向に基づくものではなく、「女性らしい形状」が魅力として重視されている可能性があるのです。

ただし、完全にすべての文化圏でこれらの傾向が見られたわけではありません。

たとえばサブサハラ・アフリカでは、男女間の魅力度の差は統計的に有意ではありませんでした。

このことは、これらの地域では他の民族カテゴリーには見られない文化的な差異があることを示唆しています。

いずれにしても、ほとんどの国で「女性に美しさを感じる」傾向は変わらないようです。

これほど大規模かつ精緻に設計された美的評価の研究は世界的にも稀であり、ジェンダー研究、美的認知科学、文化心理学などに多大な影響を与えることは間違いありません。

そして今後は、「なぜ人間では女性に美しさがあるのか」といった疑問を解明することが求められます。

私たちが日常的に感じる“美しさ”の感覚は、単なる個人の好みではなく、文化、社会的学習、そして無意識の心理が織りなす、極めて複雑な認知プロセスによって生み出されているのかもしれません。

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参考文献

Across 50 countries, female faces consistently rank higher in attractiveness than male faces
https://phys.org/news/2025-06-countries-female-higher-male.html

元論文

The Gender Attractiveness Gap
https://doi.org/10.1101/2025.05.21.655261

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。